予想PER4倍という異常値
圧倒的業績と株価の矛盾

 先に立場をはっきりさせておきますと、私はキオクシア株を持っていませんし、この記事を書く立場上、これからも買いません。

 ただ米国株のハイテク株インデックスETFを持っている関係で、この1カ月はかなりひどい目に遭っていて、そのこともありこの分野については評論家としての通常業務以上に情報を集めています。その立場での記事だとお考えください。

 それでは私の見方をお伝えします。短期のデイトレードではなく一定期間、たとえば年末までガチホールドするという前提でいえば、キオクシア株は投資先の候補の一つとして検討する価値があると見ています。ただしひとつ不安要素がありますから、私だったら後述する別の株を買います。

 それでは、そのように予測する理由を説明します。先述したように、キオクシアの業績は記録的な高い水準にあります。ハイパースケーラーの投資が滞るのではないかという理由1の疑念ですが、その後、マイクロソフトやアマゾンの決算発表でクラウド収益の拡大でカバーできるようだという観測が広がり、ハイパースケーラーの株価が大きく反転しました。

 現在のメモリ不足は、ハイパースケーラー向けのメモリ供給が莫大な需要を生んでいることで起きています。そのハイパースケーラー各社の今後の設備投資が減らないことを前提に考えれば、キオクシアの業績はこれからの2年間、さらに上がっていく公算が高いです。

 仮に予想される業績が堅調なのに株価が今のまま(ないしは下落する)だとどうなるかを考えてみましょう。伝統的な尺度である予想株価収益率(PER)でみると、半期決算が発表される11月時点でも株価が戻らなければ予想PERはおそらく6倍程度になります。

 来年5月の年度決算の見込みでは、純利益はおそらく5兆円強になりそうです。そこから来期の予想でさらに増益なら、予想PERは4倍くらいまで下がってしまうでしょう。

 もし予想PERが4倍になってしまうということは、伝統的な説明では「現在の株価は今後4年分の利益と同じ価格になっている」ということです。ひらたく言えば「株主は今の状況が4年続いたら元本を回収できる」と言い換えてもいいかもしれません。そしてこれは異常な数字です。