暴落を招いた真の要因
韓国の信用規制ショック
というのも、東証スタンダード市場全体でPERは14倍程度、プライム市場全体で約18.5倍、未来に不安をかかえている自動車大手ですら悪いときで7倍まで下落した程度なので、キオクシアの予想PERは今のままの株価が続いてしまうと今後、東証の中で突出して低くなります。
この数字が意味するところをひらたく記述すれば、「キオクシアはこの先2年間は記録的な高業績になるけれども、3年後に韓国と中国の競合が供給を増やすせいでメモリ価格が下落して、純利益水準は1兆円程度と元の水準に戻る。その後20年以上にわたってメモリ事業は大きくは利益を出せない」ぐらいの状況を織り込まないと、PER4倍という数字は正当化できない。そんな異常な数字です。
そして半導体市場全体についての現時点での未来予測の前提条件を読み解くと、そのような未来は起こりそうにもありません。
その最大の根拠は、ハイパースケーラーのデータセンター投資は、今後数年間で増加の一途をたどるはずということが未来予測のコンセンサスだからです。メモリの需要、言い換えるとキオクシアの売り上げは継続的に増加していくはずです。
株価下落の一因である「韓国と中国が供給を拡大している」のはデータセンター需要の増大に供給をあわせるためです。だとすれば現在のメモリ需要上昇は、3年後にはさらに状況がひっ迫するわけで「今のメモリ各社の高業績は一時的なものに過ぎない」という悲観論者の論理が破綻することになります。
実は経済予測をしている同業者もおおむね、現在の下落は行き過ぎだと捉えています。なのになぜキオクシアの株価がここまで下落したかというと、第5、第6の原因が存在します。
5番目の理由は半導体株が急騰する過程でレバレッジETFのような「信用買いで半導体株を保有する」投資家が急増したこと。6番目の理由は、そのような状況を是正しようと韓国の金融当局が信用買いの証拠金を増やす規制強化をしたことです。この規制強化は7月31日から実施されました。
この規制が直接関係するのは韓国のサムスンとSKハイニックスというメモリ業界の2大プレイヤーなのですが、信用取引規制の通告により株価が下落し、下落したことで投資家によっては追証が発生し、さらに株価が下落するという負の連鎖が発生しました。







