名医は患者の負担を考え
必要最低限の検査にとどめる

 名医の話もしておこう。

 患者会に紹介してもらって電話したところ、最初は診察時間以外のときに会ってくれて、診てもらえることになった。

 最初のとき、前の病院での検査のデータを持って行った。注腸検査のレントゲン写真も。普通、病院が替わると、いくら前の病院の検査データを持って行っても、「うちはうちでちゃんとやらないといけないから」と言って、注腸検査、大腸内視鏡検査などをすべてやり直すことになる。

 今回もそうだろうと思って、「あらためて検査する必要がありますよね?」と聞いたら、「なんで?ちゃんと前のデータがあるのに、そんな必要ないよ。検査は負担になるから、なるべくしないほうがいいから」という返事で、びっくりした。

 しかも、この医師は注腸検査はいっさいしなかった。大腸内視鏡検査のほうがよくわかるし、注腸検査は被曝するからということだった。例の医師と、なんというちがいだと感激した。

 この医師は、なんと外来で大腸ファイバーで直腸をのぞけるように、ずらりとベッドを並べて、仕切りを作り、大腸ファイバーもたくさん用意してあった。粘膜を診れば、潰瘍性大腸炎かどうかは一目瞭然だから、これがいちばんなのだと言っていた。

 たしかにその通りで、患者としても、見て診断してもらえれば、確実な診断でありがたい。大腸ファイバーで直腸をちょっとのぞくだけなら、痛みはまったくない。下剤をかけたりするわけではないから、そういう負担もない。便の状態からも病状がわかるということだった。

 この方式は、いいことずくめなわけだが、たくさんの検査用のベッドを並べるスペースが必要だし、大腸ファイバーをたくさん用意して、それをどんどん消毒していかなければならないのも大変だ。

 だから、この先生がいなくなった後は、この方式はすぐに取りやめになった。じつに残念なことだった。

患者からの提案にも
丁寧に耳を傾ける

 この医師は、院内で薬も作った。大きな大学病院だから、できたことだろうが、この薬がとてもありがたかった。一般にはない薬で、副作用が少なく、治療効果は高かった。