2024年1~6月のデータでは、東京都全体で8.5%、東京23区で9.3%、都心6区では12.2%と、都心ほど割合が高くなっています。
また、横浜市、川崎市、大阪市、神戸市など大都市部でも短期売買割合は高く、2024年1~6月では、神戸市12.1%、川崎市8.2%、大阪市7.2%、横浜市5.7%でした。
ただし、国土交通省の報告の中には、短期転売割合はその年の供給物件の特性によって大きく変動すると明記されています。したがって、特定の区や都市で「常に」短期転売が多いと断定することはできません。
転売率が高い地域ほど
価格上昇率も高い
興味深いのは、2025年7月に不動産協会に対し、投機目的でのマンション取引抑制を要請した千代田区です。同調査では、千代田区の短期転売割合は2019年に9.2%でしたが、2023年は4.9%、2024年1~6月は4.6%と、他区に比べて突出して高いわけではありません。
高価格帯の物件が多い千代田区では、短期転売よりも、資産保有や資産退避を目的とした長期保有の比重が高い可能性があります。そのため、転売や複数住戸の抑制だけでなく、非居住の空室にも何らかの対策が必要になってくるのかもしれません。
一方、都心6区以外にも短期転売の割合が高い区は存在しています。2024年1~6月では、葛飾区21.6%、板橋区16.5%、墨田区14.8%、大田区13.3%でした。
数値は供給物件の特性によって変動するとはいえ、短期転売は都市全体に一定程度、確実に存在しています。
転売率と住宅価格上昇率に相関があるのかについて客観的なデータで確認するため、東京カンテイが発表した築5年以内のマンションを対象にした「新築マンションにおける短期転売に関する簡易調査」(2026年2月24日)をもとに、山手線内側を中心とする東京都心10区と大阪都心6区の中古流通発生率、いわゆる転売率(転売等が行われた住戸割合)と価格上昇率(新築分譲時=100)の相関を分析してみました。その結果、価格上昇率と中古流通発生率、つまり転売が行われた住戸の割合との間に強い正の相関(r=0.878)が確認されました(図表0-1)。
同書より転載 拡大画像表示
『マンション高騰の真実 都市部の「非居住化」が街を壊す』(野澤千絵、中央公論新社)
相関係数は-1から+1の範囲で表され、1に近いほど「一方が上がればもう一方も上がる」という関係が強いことを意味します。統計的にも有意な結果(有意確率p<0.001)であり、偶然で生じた相関ではないと言えます。少なくとも、東京・大阪の大都市都心16区において、中古流通発生率が高い市場では価格上昇率も高いという傾向があることは統計的に裏づけられたと言えます。
このように、都心や駅近といった利便性の高いエリアの住宅が金融・投資の論理に組み込まれ、本来の「住む人」のための場としての役割や社会的機能を失いつつある変化に、私たちはどう向き合うべきか。
いよいよ日本でも、住宅を「住む人」の手に取り戻すための政策議論を本格化すべき時期にきているのではないでしょうか。







