ただし余命宣告を受けるため、それに耐えて死を受容する必要があり、精神的にはつらい時期があると思います。私の義父がまさにそうで、緩和ケア病棟へ入院した直後に面会した際は、病人とは思えないくらい心身ともしっかりしていました。しかし、「俺ももうすぐ死ぬんだな」と言った顔が忘れられません。そして、私たち夫婦が面会した半月後に亡くなりました。

 ただ、超高齢者の場合は、人が望むようなピンピンコロリのケースがたまにあります。親しくしていた岩手県大船渡市の介護施設の施設長が、まさにそのようなケースです。

 彼女は95歳でしたが元気で、毎日10時には施設に出勤し、午後3時か4時に帰宅するという生活を続けていました。2025年の1月前半に職員宛にメールを送ったところ、「みんな元気です」との返事でしたが、2月末のある朝、前日まで普通だったのに、ベッドの中で亡くなっていたそうです。

 おそらく寝ている間に心臓発作を起こしたのだろう、ということでした。そのほかにも、昼食を普通に食べて部屋に戻り、少し後で職員が様子を見に行ったらすでに息がなかったという、大阪の介護施設に入所していた112歳の女性もいました。

 そのようなピンピンコロリは「いいなあ」と思うのですが、それでも突然の死は、周囲の人たちにショックを与えます。大船渡の施設長は「100歳まではいくよね」とみんな言っていたそうで、大往生ではあるものの、職員たちはまだ死を受け入れられないようでした。高齢者の死であっても、ピンピンコロリがいいとばかりはいえないのです。

「家族に迷惑をかけたくない」
という願いが逆の結果を招く

 とはいうものの、ピンピンコロリの人気は高く、「理想の死に方」を尋ねたホスピス財団のアンケート調査によれば、「ある日、心臓病などで突然死ぬ」を理想とする人が70.6%で、「(寝こんでもいいので)病気などで徐々に弱って死ぬ」を選んだ人の29.4%を大きく上回っていました。