この先どうやって生きていこう
頭をよぎる「最悪のこと」

 話があまり頭に入ってこなくて、「とりあえず、顔を見て話そう」「すぐそっちに帰る」と伝えました。パニックといえばパニックだったのだと思います。大丈夫だろうと思いながらも、起こり得る最悪のことも考えて、この先どうやって生きていこうとさえ思いました。

 娘はまだ生まれたばかり。自分がしっかりしないといけない。20歳になるまで、どうやって育てていこう……。保育士の仕事に復帰しないといけない……。そういえば、結婚してから保育士免許の更新をしていない……。どうやって更新したらいいんだっけ……。考えなくてもいいような細かいことまで考えてしまっていました。

 その日の夜は、眠れませんでした。

 翌日、泣くのは実家にいる間だけにしようと思いながら、娘と一緒に自宅に戻ってきました。主人は、いつもどおり娘にメロメロ。本人の顔を見たら泣いてしまうかもしれないと思っていたのですが、意外と本人があっけらかんとしていました。この人は大丈夫。ネガティブなことを言うより、ポジティブなことを言ったほうがいい。本人の顔を見て泣いてはいけないと決めました。

 ソファに座って、これからの予定や手続きのことなどを話しました。

「キャンプに行けないよ……」

「大丈夫だよ」

「……」

「大丈夫だよ」

 主人の入院中は、娘を連れて毎日、電車で病院に通っていました。私にとっては、この時間が何よりもしんどかったです。家にいると、娘の世話や食事の準備など、やることがたくさんあるので気が紛れるのですが、電車の中にいると何もすることがありません。娘を抱っこしながら、流れていく景色を見ていると、「本当に大丈夫なのかな」と思ってしまって。普通にしよう、普通にしようと意識しすぎていたのかもしれません。

 病室にいても、静かな空気になってしまうのが嫌でした。何かしゃべっておかないと、本人が何か考えてしまうかもしれないと思って、ずっと私がしゃべっていました。帰り道に夕食を買って帰っても、家に着いたら、それを食べる意欲すらなくなっていることもありました。