図表4-33は、教育訓練費増加額と税控除額の内訳をみたものである。

図表4-33 教育訓練費増加額と税額工場および税の超過額同書より転載 拡大画像表示

 大企業、中小企業の教育訓練費増加額は約64億円であるのに対し、税額控除額は約278億円で、約214億円の超過となっていた。また、教育訓練費と比較したところ、教育訓練費合計は72.9億円で、超過額は144.8億円となっていた。

 教育訓練費の増加額のみならず、教育訓練費そのものよりも税控除額の方が大きく上回っていたのだ。

 ちなみに、1企業あたり超過額が最も大きい法人は、大企業で4億6575万余円、中小企業者等で7809万余円であった。

経産省は教育訓練費上乗せの
効果を検証していなかった

 では効果検証はどのように行われていたのか?

 検査の結果、明らかになったのは、教育訓練費上乗せ制度の効果検証は行われていなかったという事実だ。経済産業省等は、政策評価法や国会から求められた効果検証を行っていなかった。

 財務省は、賃上げ税制が適用された企業において労働分配率の上昇が見られるか等について、公的な統計データを用いて試行的に分析していた。だが、教育訓練費上乗せによる税控除が、賃金上昇にどの程度の効果があるのかについての検証は行っていなかった。

 会計検査院は、効果検証を行っていなかった理由を経済産業省に尋ねている。同省は、教育訓練費の増加が給与等の増加に結びついたか否かを定量的に測ることは難しいためと答えている。