「これだけキツい仕事を頑張っているのだから、週末くらい贅沢をしてもバチは当たらない」「一生懸命働いたご褒美に、自分への投資として高級ブランド品を買おう」――この心理は一見、仕事を続けるための健全なモチベーション管理のように思えます。しかし、この「自分へのご褒美」の習慣こそが、あなたを一生やりたくない仕事に縛り付け、老後の人生を後悔まみれにする最大の罠なのです。書籍『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』をもとに、そのメカニズムを紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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ストレス発散の「ご褒美消費」
毎日、過酷な労働で心身をすり減らしているビジネスパーソンは、その激しいストレスと閉塞感を埋め合わせるために、「モノやサービス」を消費します。
高級レストランでの食事、流行のブランド服、最新のガジェット……。
それらを手にした瞬間は、一瞬だけ満たされた気持ちになるでしょう。
しかし、その贅沢を維持するためには、当然ながら「翌月も同じ過酷な仕事を続けて、お金を稼がなければならない」という鉄の鎖が足元に繋がれます。
つまり、仕事を忘れるために使うお金が、結果として、自分をさらに仕事に縛り付ける原因になっているという、致命的な自己矛盾に陥っているのです。
『世界の果てのカフェ』という本に出てくる、広告会社幹部アンは、自分自身の痛烈な後悔を通じて、このスパイラルの恐怖を以下のように語っています。
――『世界の果てのカフェ』より
「時間のご褒美」へシフトする
老後に「もっと自分のやりたいことをやればよかった」と激しく後悔する人は、40代の働き盛りの時期に、このストレス消費のスパイラルに完全に飲み込まれてしまっています。
彼らはお金はあるのに時間がありません。
そして、年齢を重ねて会社を去ったとき、手元に残ったのは大量の「使わなかったブランド品」と、虚無感だけなのです。
この罠を脱出するためには、「自分へのご褒美」の定義を、物質的な消費(モノ)から、主体的な時間の過ごし方(コト・時間)へと180度シフトさせなければなりません。
本当のご褒美とは、ブランド品を身につけることではなく、自分の人生を他人にコントロールされない「自由な時間を手に入れること」であるはずです。
消費による一瞬の麻酔に頼るのをやめ、自分の時間を自分の手に取り戻すための準備にお金を投資すべきなのです。
――『世界の果てのカフェ』より
次に「ストレスが溜まったから、何か買い物をしよう」と思ったときは、そのお金を自分の口座にそのまま残しておきましょう。
そして、代わりに「平日に30分だけ早く仕事を切り上げて、カフェで好きな本を読む」「週末に自然豊かな場所へ散歩に行く」という、お金のかからない『時間のプレゼント』を自分に与えてみてほしいです。
心が本当に求めているのは、モノではなく、他者に支配されない時間なのです。




