日本経済の転換期に小規模事業者への融資判断をどう高めるか、「過去に学ぶモデル」のアップデートと“未来を読む現場の経験”が欠かせない理由写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

コロナ禍が小企業に与えた影響

 最終回の今回は、2020年初頭からのコロナ禍が、小規模事業者向け信用スコアリングモデルの予測精度にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにしていく。

 本稿で対象とする小規模事業者は、地域に根差したサービスを提供する家族経営を中心とした法人企業である。健康を支える診療所や接骨院、日常生活を支える宅配業者、訪問介護事業者、食料品店、工務店に加え、暮らしに彩りを与える理美容店やカフェ、地元の特産物を扱う飲食店や土産物店、和菓子店・洋菓子店など、多様な業種が含まれる。

 信用スコアリングモデルは、一般に財務諸表とデフォルト(倒産や延滞)との相関関係を利用して個別企業の信用リスクを評価する統計モデルである。しかしコロナ禍では、外出自粛による需要の急減で損益が大幅に悪化する一方、持続化給付金、雇用調整助成金、ゼロゼロ融資などの政府支援が広く行き渡った。このため、小規模事業者のデフォルト率は大幅に抑えられ、財務諸表とデフォルトとの相関は弱まった。

 また、多くの小規模事業者が流動性確保のために借入れを増やしたが、利子補給や低金利、返済猶予などにより実効的な利息負担は抑えられた。このため、企業の資金調達金利の低下を単純に金融機関の信用評価の改善とみなす従来の見方は必ずしも当てはまらなくなった。