エレベーターに乗った際、ただボーッと突っ立っているだけの人がいる。本人は一息ついているつもりでも、実はその何気ない過ごし方が周囲からの評価を左右していた。越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』から、職場での評価が高い人がエレベーター内で実践する意外な習慣を紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

職場のエレベーターで「突っ立ってるだけの人」は仕事ができない。では、優秀な人は何をする?Photo: Adobe Stock

「気が利く」という印象は、どこでつくられるのか?

職場で、部署の垣根を越えて誰からも「気が利く人」「感じが良い人」と信頼され、トントン拍子に出世していく人がいる。

その一方で、仕事のスキルは決して低くないはずなのに、なぜか社内での印象が薄く、周囲からの協力を得にくい人もいる。

あなたの周りにも思い当たる人はいないだろうか?

知り合いの若手社員の話

あるとき知人が、自社の若手社員のエレベーターでの振る舞いについて、こんな話をしていた。

その同僚は、エレベーターに乗るといつも奥に逃げ込み、ただスマートフォンを眺めるか壁を凝視して突っ立っているという。

ある日、知人が「いつもそうしているの?」と聞いた。

するとその若手社員は、こう答えたそうだ。

「エレベーターで知り合いと会うと気まずいじゃないですか。シーンとしてるから会話もしづらいし、気も遣う。だから、誰とも話さなくていいようにしてるんです」

確かに、移動中のわずかな時間くらい何も考えずにボーッと過ごしたい気持ちもわかる。

しかし、その振る舞いは周囲から見てどのような印象に映っているのだろうか。

優秀な人たちは積極的に「ボタン係」をしている

『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』には、こんな驚くべき調査結果が載っている。

期待されている人たち(評価上位20%)の89%が、他人の目的階も押してあげる「ボタン係」を積極的にしていたのです。一方で、その他の一般社員でこの行動を取っていた人はわずか31%でした。
58%もの差は、私たちにとっても予想外でした。
(中略)積極的にボタン係になる人は、社内で「ありがとう」と言われる回数が一般社員の3.2倍であり、1日に平均15回以上、感謝の言葉を受けていたのです。

(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)

乗ってきた同僚に「何階ですか?」と声をかける。
扉を押さえながら「お疲れ様でした」と一言添える。
笑顔で開閉ボタンを操作する。

社内評価が高い人たちは、わずか数十秒ほどのエレベーターの時間で、「親切で話しかけやすい人」という印象を相手の記憶に刻んでいたのだ。

「ただの移動時間だから」と突っ立っているだけでは、その小さな気配りの機会をドブに捨ててしまうことになる。

他者との繋がりが、「仕事ができる」ことに繋がる

社会心理学には、小さな親切を受けた相手は好意を持ち、恩返しをしたくなる「返報性の原理」というものがある。

成果を出す優秀な人は、無意識のうちにエレベーターでの「ボタン係」を通して1日15回以上も社内から感謝を集め、他部署と繋がる土台を築いているのだ。

一方、エレベーターで「突っ立ってるだけの人」は、仕事以外の時間での配慮を軽視し、周囲と繋がるきっかけを自分から放棄しているといえる。

これでは、他者との共同が必要な業務が仕事の大半を占める現代において、「仕事ができる人」になれる可能性は低いといえるだろう。

「ただの移動時間だ」と、周囲への配慮を止めてはいけない。

操作パネルの近くに立ち、笑顔でボタンを押して一言声をかける。

その20秒の気遣いを日常で積み重ねられる人ほど、周囲から「感じが良い人」と絶大な信頼を寄せられ、結果として仕事でも引き上げられていくのである。

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。