石川県の山野之義知事が語ったのは、平時のデータを有事に生かす発想だ。能登の12カ所を拠点にドローンを定期的に飛ばし、平時の風景を撮りためる。災害時に同じ場所を撮って見比べれば、どの道路が通れず、どこで山崩れが起きているかが分かる。こうしたデータ蓄積は、のちにAI活用の土台にもなり得る。

 紙や対面中心の県庁文化にもメスを入れる。知事へのレクチャーは、9月議会までに全面オンライン化する方針だという。

石川県の山野之義知事石川県の山野之義知事 Photo by M.S.

 山梨県の長崎幸太郎知事が紹介したのは、地域の中で技術の担い手を育てる「地域内発型DX」だ。中学生は自分のクラスの、高校生は学校全体の、大学生は地域社会の課題をデジタルやAIを使って解決する。さらに大学生は、後輩の高校生や中学生を指導する役も担い、商工団体と組んで地元の中小企業のデジタル化も手伝う。

山梨県の長崎幸太郎知事山梨県の長崎幸太郎知事 Photo by M.S.

 広島県の横田美香知事は、「世の中に追従するだけではなく、リードしていかなければいけない」と語り、県と市町でデジタル人材を共同採用し、各市町へ配置・ローテーションする「DXShip(デジシップ)ひろしま」を紹介した。単独では人材確保が難しい市町を県全体で支える仕組みで、現在は18の市町で23人が働く。電子申請や公共施設予約、セキュリティクラウドといったシステムの共同調達・共同利用も進む。

 AI活用も、県内外の人材と地域課題をつなぐ「ひろしまAIサンドボックス」、高校生が部活動でAIに取り組む「ひろしまAI部」、県庁が崩落の危険がある斜面(法面)の抽出などを試す「広島AIラボ」などを進めている。課題は、著作権など権利関係の整理、膨らみ続けるシステムコスト、そして人材育成だという。「都道府県も市町村も業務は共通している。一緒に解決していきたい」

広島県の横田美香知事広島県の横田美香知事 Photo by M.S.

都営住宅の空き室予測から生活保護の現場支援まで~広がる都庁のAI活用

 小池知事は「生成AIは文字の発明以来の大きな変革」と位置づけ、都政のあらゆる側面でAIを徹底活用する方針を掲げる。狙いは、都民サービスの質の向上と業務の生産性向上だ。「IT化からDX、そしてAX(AIトランスフォーメーション)。これを同時並行で進めていかなければいけない」

 都営住宅では、約22万戸分のデータを学習させて空き室の発生を予測し、募集戸数を約4000戸拡大。都営住宅の抽選といえば倍率数十倍という狭き門だけに、応募できる住戸が増えた意味は大きい。