東京都の小池百合子知事東京都の小池百合子知事 Photo by Mayumi Sakai

「現状維持は後退でしかない」「詳しくなくてもいい」小池百合子東京都知事、宮坂学副知事の言葉には、強い危機感がにじんでいた。技術者不足という共通の壁を前に、東京・石川・山梨・広島・香川の知事たちは何を語ったのか?都営住宅の抽選倍率を左右するAI、年間1000時間超の“手取り時間”を生んだ点検ロボット……行政の現場は、想像以上のスピードで変わり始めている。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

技術者確保に苦戦する自治体 カギは「垣根を越えた連携」

 知事が公の場でAIについて語り合う機会は、そう多くない。2026年7月、東京都とGovTech東京が自治体職員向けに開催した「ガバテックカンファレンス オールジャパンで進める自治体DX・AX」で、東京・石川・山梨・広島・香川の5都県知事が膝を突き合わせた。かつてアナログ一色だった行政の現場でAI活用が広がる一方、それを担う技術者はどの自治体でも足りない。それぞれの取り組みと課題が共有された。

「AIをはじめとするデジタル分野の技術革新は、圧倒的なスピードで進んでいる」

 冒頭、東京都の小池百合子知事はこう切り出した。質の高い行政サービスを維持するには、もはやAI活用が不可欠。しかし、技術者の確保にはどの自治体も苦戦しているという。「もたもたしていると、あっという間に日本が取り残されてしまうという危機感がある。現状維持は後退でしかない」。だからこそ「自治体の垣根を越えた連携が鍵」だと訴えた。

 5都県知事によるディスカッションのテーマは、「DX・AX推進に向けた都県の課題と取り組み」。モデレーターは、宮坂学副知事が務めた。

香川・石川・山梨・広島~4知事が語る、それぞれのAI活用術

 香川県の池田豊人知事が力を入れるのは、ものづくり産業へのAI実装だ。ただ、今のところ生産管理へのAI導入率は13%にとどまる。県はAI開発型のGPUデータセンターを県内2カ所に誘致してきたが、「データセンターだけではAI実装には至らない」。そこでNVIDIAと連携協定を結び、企業誘致や県内企業への実装、人材育成を進める。エレキテルで知られる発明家・平賀源内が香川の生まれであることに触れ、「源内さんのDNAを引き継いで、香川にAIを持っていきたい」と語った。

香川県の池田豊人知事はオンラインで参加した香川県の池田豊人知事はオンラインで参加した Photo by M.S.