ここにきて米国株式市場でS&P500が過去最高値を更新したが、日経平均は乱高下している。
こんなとき、「貯金」か「投資」か、何を軸に判断したらいいのか? そこでライターの米多寿樹氏が「貯金と投資の名著」を厳選。「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書」と絶賛されているベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』のエッセンスを特別配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「で、何に投資したらいいの?」へのファイナルアンサー・ベスト1Photo: Adobe Stock

「で、何に投資したらいいの?」

『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ニック・マジューリ著、児島修訳)に限らず、投資に興味を持ち、入門書・解説書にまで手を出したような人であれば、どこかのタイミングでこうした疑問を持つはずだ。

「で、何に投資したらいいの?」

当然の疑問だと思いはするが、それに答えがあったら世話はない。

『JUST KEEP BUYING』の「何に投資すべきか?」を扱った第11章にはかなりの紙幅が割かれているが、これもあくまで考える材料を提供しているだけ。
さらにいえば、アメリカの読者を主な対象に書かれているので、考え方を学ぶことはできても、ここの内容をそのまま日本の読者が参照するのは難しいのではないか。
投資は国際的なものだといえども、やはり多少は暮らしている国の事情が反映されるところはあると私は考える。
著者もおそらくは同意してくれるのではないだろうか。
下記のような、この章の重要なメッセージ部分を読めば。

投資でいちばん大切なこと

章の冒頭で、著者のニック・マジューリはウォーリー・ジェイという数々の優秀な競技者を育て上げた柔道指導者の、「指導者は自分の考えを選手に押しつけてはいけない」という信条を紹介し、そこからこう繋げる。

だが、投資の世界ではジェイと同じようなアドバイスはめったに耳にしない。
その代わりにあふれているのが、「お金を増やす唯一の方法を知っている」というこの世界の有名人のアドバイスだ。
でも、実際には富を築く方法はいくつもある。勝つ方法はたくさんあるのだ。
そのため、自分に合ったものを見つけるために様々な方法を検討する必要がある。
お金持ちになりたければ、多様な収入源となる投資資産を買い続けるべきだと私が推奨しているのもそのためだ。本書のメッセージの中心にあるのはこの考え方だ。
難しいのは、どの投資資産を保有するかを決めることだ。
――『JUST KEEP BUYING』より

本書ではこのあと、いくつもの選択肢を挙げてくれる。丁寧に表まで掲載してくれている。とても優しい。良心的な書き手だと思う。

しかし、上記の引用箇所が、著者のメッセージの本質的なところなのではないだろうか。
あえて私なりに代弁するなら、著者が本音として言いたいのは、ポジティブな意味では「下手なことは気にしないで自由にやればいい」だろうし、厳しく解釈すると「とにかく自分の頭を使って考えろよ」ということなのだと思う。生殺与奪の権を他人に委ねるな。人生の舟のオールは自分の腕で漕げと。

投資に、人生にどうしてもついて回る厳しさを、オブラートに包みながらも誠実に伝えようとしてくれている本だ。

ひとつ、最後に付け加えるなら、多様な選択肢に目を向けるべきではあるが、何やら怪しげな投資話に引っかからないようにはお気をつけあれ。老婆心ながら、申し添えておく。