それは、「もっと数字を上げてくれよ」と心の底では思いながら、口先では「いやあ頑張ってるね!素晴らしい!」とほめる。つまり、見え透いたウソを付くことです。

 これを「ダブルメッセージ(内言語と外言語の不一致)」といいます。部下は上司の本心をだいたい見抜いていて、「あ、おだてて何とかしようとしているな」と、かえって心がスーッと冷めていくのです。

「ほめているのに、なぜ響かないんだ?」と感じたとき、その答えはたいていここにあります。

 では、上司はどう振舞うのが正解なのでしょうか。

内側から湧き上がるやる気を
そっと後押しする言葉とは?

「人は変えられない。でも、人は変われる」という考えが基本となる、「リードマネジメント」へ切り替えましょう。

 部下を外からコントロールしようとするのではなく、部下自身が「この上司と一緒に働きたい」「この目標を自分の力で達成したい」と思えるように、内側から湧き上がるやる気を、そっと後押しする。これがリードマネジメントの基本です。

 私の実体験に戻りましょう。若手エースに対して、私は関わり方をガラリと変えました。

 彼は、営業という仕事を通じて「顧客に喜んでもらえる」「顧客にほめられる」ことが大きなモチベーションになっていました。それさえ得られれば、社内評価などむしろ、どうでもいいとさえ思っていることがわかりました。

 この欲求や願望を満たすために、上司としてどのように支援できるか――。私は慎重に、ていねいに言葉を選んで彼に話しかけるようにしました。

「あなたなら、より多くのお客様にありがとうと言ってもらえると思う」

「そのためには、必要な専門性としてこのようなものがあるよ」

「お客様からしても、担当者が成績優秀なことは嬉しいし、安心感にもつながると思うよ」

 こうした声がけと、商品知識を高めるサポートを続けました。

 すると、結果的に彼は営業成績ランキング1位になったのです。

きちんと届く「ほめ方」とは?
上司が知っておくべき「4つの承認」

 部下のやる気に火をつける伝え方とは何か。まず、ふわっとした「ほめ言葉」を並べるのではなく、事実に基づいた「ポジティブ・フィードバック」を意識することがポイントです。

 狙いは、相手をコントロールすることではありません。部下自身が「ああ、自分は成長できているな」「役に立っているな」と、自分で自分を認められるようにすること。そのために、次の4つを徹底してみましょう。