『風、薫る』第111回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第111回(2026年8月31日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
気晴らしを探す
第23週「歩々清風」(演出:松本仁志)は吾郎(甲斐翔真)の回想からはじまった。
サブタイトルの「歩々清風」は禅語で、一歩一歩歩くたびに爽やかな清風が起こるという意味がある。
確かに、たとえ人が静かに動いても、小さく空気が動く。歩くたびに風が吹き、停滞したものが動く。部屋にこもらず、無理しても歩いてみる。そうすると何かが変わっていくものだ。気持ちも状況も。
第111回は、吾郎と悲しい別れをした直美(上坂樹里)をはじめとして、幾人もの登場人物たちがしんどい思いをしながらも、一歩一歩、ゆっくりと前を向いていく姿が描かれた。
直美は看護に復帰し、平蔵(太田光)の無料看護も再びはじめる。りん(見上愛)は引き継がなかったのか。そこは看護婦会の予算的に、直美だけが担当しているということなのか。けっこうシビアである。
刀傷ざっくりの背中を拭いてもらいながら、
「子ども生まれたんだな 旦那は」と尋ねる平蔵。
直美の反応で察する。
直美は悲しみを抱えて、ここに来ているはずだが、これまでと平蔵の部屋の撮影アングルが違う。窓から明るい陽光を入れて撮っている。穏やかであたたかな部屋に見えるのだ。
部屋の隅には酒瓶が並ぶが、直美の注意書き「酒一杯、水一杯」がとってあった。
直美は「私、これからも来ます。一緒に探しましょう。新しい気晴らし」と言う。
「あんたの気晴らしになるならつきあってやるよ」と平蔵。
平蔵にとっての気晴らしは酒。直美にとっての気晴らしが看護。でも、酒を気晴らしにすると中毒性があり、看護を気晴らしにするのは、患者に失礼になるだろう。それとはまた違う、気晴らしを探そうと考えるふたり。







