パレスチナ問題の
鍵を握るエジプト

 歴史上、アメリカと日本のように、敵同士だったものが今では強固な同盟関係で結ばれているというケースもあります。ムスリムとユダヤ人についても、情勢が好転する可能性を排除しないこと。両者を「永遠の敵」と決めつけるのではなく、いつか良好な関係を築きうることも念頭に置くべきでしょう。

 アラブ諸国の中で最初にイスラエルと外交関係を樹立して、ガザに隣接するエジプトが今後ガザの再建やパレスチナ問題にどう関わっていくのかも、中東情勢に大きく影響するでしょう。エジプトは、湾岸諸国と比べて経済力があるわけではありませんが、アラブ映画などを通じて文化的な影響力が強く、アラブ連盟の本部もカイロにあります。

 アラブの春以降の混乱で中東での影響力はやや削がれた感もありましたが、歴史的な経緯を見ると今後中東の地域大国として復活してくる可能性もあると感じています。

 エジプトに2年間住んだ私は、エジプト人の融通無碍な対人折衝力に、インドや一部アフリカ諸国の人々に通じる、グローバルサウス的ないい意味でのしたたかさを感じます。

 カダフィー後の混乱が収束しないリビアでは、今後も混乱が続く可能性が高いと考えます。西側が政権を転覆させても、国家秩序が回復して民主主義の国になるわけではないのです。

 アルジェリアは天然ガス収入で国家の安定を一定程度維持していく可能性が高いと思われます。モロッコは、北アフリカの中で比較的安定しており、地理的に西欧との経済関係の拠点として発展する可能性もあるでしょう。