中東への関与を弱める米露
存在感を増す中国
『世界のエリートが学んでいる教養としての超現代史』(山中俊之、SB新書)
そして大国の関与という点では、アメリカが依然として最重要プレーヤーであることに変わりはありませんが、その関与の仕方は明らかに変わってきました。
湾岸戦争やイラク戦争のように、地上軍を長期駐留させて民主化まで面倒を見る時代は終わりつつあります。今後は、必要なときに限って軍事力を限定的に行使する「選択的な関与」にとどまるでしょう。アフガニスタンからの撤退は、その象徴的な出来事でした。
他方、ロシアはシリアに深く関与してきましたが、現在、影響力は低下しています。そこでアメリカの空白を部分的に埋めつつあるのが中国です。中東からのエネルギー輸入国として、またインフラ投資の供給国として存在感を増しています。
ただし、中国がアメリカのように中東の軍事的な安全保障をも丸抱えする気配は、今のところは見られません。台湾など核心的利益の地域と違い、中東はあくまで域外です。中国は、「経済と外交で影響力が拡大する大国」というポジションにとどまるでしょう。その意味では、2023年にイランとサウジアラビアの国交回復の仲介役として関与したのは、中東における中国の存在感増大を示す出来事でした。







