
吾郎に出征の命が下った
「娘に名をつけなかったのは、拾った人に愛され育ててもらいたかったからでは……」(詳細は第85回レビュー『まさか…名前を付けずに子を手放した母親の「深い理由」〈風、薫る第85回〉』https://diamond.jp/articles/-/395383)
第108回で直美は文のことを思い出す。
美津(水野美紀)に裁縫を習いながら、「お母さんってみんなこうやってお腹の中で子どもを育てるんですよね。まだ顔も見てないのに可愛いって思えるの不思議で」と話していて、「文さんもそうだったのかな」と母の思いを実感する。
あの頃、文と共に過ごしたとき、文の気持ちがわかったところもあっただろうけれど、実際、自分が母になったときに、より解像度が上がったことだろう。
と同時に、ひとりで産むことになる不安に対する解像度も上がってしまう。まさかここで文と同じ運命になるかもしれないとは……。親子二代、同じ不安に直面することになる。
不安な直美に、美津は「小川さんは立派なおつとめをされています」と言うしかない。軍人さんのおつとめをネガティブにとらえてはいけない空気がこの社会にはあるのだろう。
美津は江戸時代生まれ、かつ武士の家の生まれだから、戦(いくさ)を知っている。武士が誇りを賭けて死ぬことも知っているだろう。
だからこそ残された者はそれを受け止めるしかないこともわかっている。時代は変わったはずが、やはり戦うことを美徳としていることは変わっていないようだ。
戊辰戦争の生き残りの平蔵(太田光)は「生き残るんだったら、手柄なんか立てようとせず、じっとしてることが一番だ。死んじまったら意味もねえ」と言っていたけれど。
その平蔵の無料看護は、子どもが生まれるのでしばらく来られなくなる。誰かに引き継がないのだろうか。りんが代わるのが妥当だとは思うが。そういう会話はなされないのが『風、薫る』。
そろそろ仕事をセーブしないといけない時期になっても、まだ名前を考えたくない直美。
だが、吾郎が「準備、しておいた方がよさそうなんだ」と言い出した。







