『風、薫る』第105回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第105回(2026年8月21日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
日清戦争、はじまる
看護服新調!ブラウスとスカートはうっすら水色でエプロンは純白。清潔感ハンパない。
シマケン(佐野晶哉)が去ってから2年。恵風看護婦会は順調なようす。美津(水野美紀)はますます老い、環(山田詩子)は成長。
日本は日清戦争がはじまる。つまり、時期は1894年の夏。
直美(上坂樹里)は軍人の妻だが、軍の話は家族に話してはいけない機密なので、直美は戦争のことはわからない。
ある日、突然「出征」と聞かされるらしい。こわい。
直美と吾郎(甲斐翔真)が「いってらっしゃい」「いってきます」とやりとりしていたが、こういう穏やかな送り迎えができなくなる日がくるかもしれない。
でもいまのところ、新聞記事で戦争のことが書かれていたり、街を歩く男たちが戦争の話題を話していたりするくらいで直美やりん(見上愛)には実感がない。
ちなみに第102回でシマケンの連載枠に急に割り込んだ作家は、新聞社の大きな広告主である小室商船のコネだった。商船会社は戦争に大きく関わっていくから、そういう流れもあったのかもしれない。
ある日、「戦争、本当にやってるんだ」と実感する出来事が起こる。
虎太郎(小林虎之介)は、朝鮮に行くことになった。内地から送られてきた薬を現地の部隊に納める仕事をすることにしたのだ。自らが望んだことだった。
心配するりんに「俺は戦いにいくわけじゃないから」と虎太郎。
「外国との戦争はみんな初めてだ。やったことない仕事をした者は重宝がられるのはりんもよく知ってるだろ。人ができないこと、知らないことをすればその分、上にあがることができる」
相変わらず、上ばかり見ている虎太郎。
「努力だけでどこまでいけるのか試してみたいんだ」
努力ではどうにもならなかった時代に受けた悔しさが彼の身に染みこんでいる。自分次第で何にでもなれる、何でもできるいま、どこまでも挑戦したい欲望が止まらない。それも元をたどれば、家老の家系のりんを身分違いで諦めざるを得なかったことが原因だろう。







