まさか…名前を付けずに子を手放した母親の「深い理由」〈風、薫る第85回〉『風、薫る』第85回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第85回(2026年7月24日放送)「風、薫る」レビューです。

文の「願い」は――

 直美役の上坂樹里が『あさイチ』に出演。それだけ、この週(第17週)、この回(第85回)は直美にとっては重要だ。

 生みの母との触れ合いが描かれた。なぜ、名前もつけずに直美を捨てたのか、その謎がすべて解ける。

「直美さん、ひとつだけ、したいことがあります」。文(内田慈)が直美に頼んだのは――外出だった。

「直美さんとは教会の友人で、困ったときはお互い様ですから」

 スーツと帽子と眼鏡で真面目そうな人物に変装した寛太(藤原季節)が迎えに来て、直美と文が出向いたのは、海だった。

 海岸のそばにある鳥居をくぐり、神社へ向かう文と直美。寛太は鳥居の外で待機する。

文「あの、信者風の方はどういう…?」
直美「信者風(笑)…まあ、腐れ縁ってやつです」

 寛太は教会の友人という設定なので、信者風に装ったわけだ。「信者風」というワードが受ける。

「いいご友人に恵まれて」と文はどこまで感づいているのかわからないが、微笑む。

 こういうとき、小川(甲斐翔真)に頼んだら、もうふたつ返事でつきあってくれそう。彼のほうががっちりしていておんぶもラクラクできそう。すてきな人がいると文に紹介できたら、もっと文が安心できたであろう。でもまだそこまでの関係ではなく、やっぱり寛太が使い勝手がいいのだろう。

 本殿の前、直美がお賽銭を出そうとすると、文が制して、ふたり分出す。

 子どもはもう立派に自立していても、親はいつまでも子どもを庇護している気持ちで支払いをしようとする光景は親子あるあるだ。

 文の場合、幼い直美にできなかったことをここでしているのだろう。そう思うと泣ける。