「日本の財政は大丈夫なのか」と懸念され、国債価格が下落し、金利が急上昇する可能性も…8月末は大きな分岐点になると語る杉村太蔵さん Photo:DIAMOND
元外資系証券マン、元政治家で、実は投資家として“超一流”の自負がある杉村太蔵さん。7月に骨太方針が閣議決定し、「次の焦点は8月末」「2027年度予算の概算要求に注目」と断言する。成長投資への期待と財政不安が交錯するなか、警戒すべきシナリオとは。(ライター 池田鉄平、ダイヤモンド・ライフ編集部)
個人向け国債は
新NISAの対象になる?
――前回記事『【杉村太蔵が教える】「骨太の方針」を読まない人は三流、「要約だけ」読む人は二流…では「超一流」は?』に続いて、個人が投資や資産形成に役立てるのに、見逃してはいけない点はありますか?
実は、今年の骨太方針で「おっ」と思った箇所があります。原案の「成長を支える資金供給の促進」の終盤に「個人向け国債の魅力向上」と書かれているんです。
NISAが始まったのは2014年ですが、個人向け国債はNISAの対象ではなく、利子も非課税になりません。「なぜ組み込まれていないのだろう」と思いますよね。
正式な国会答弁などを確認したわけではありませんが、当時、個人向け国債がNISAに組み込まれなかった理由は2つ考えられます。
ひとつは、ほぼゼロ金利だったことです。利子がほとんど付かない状況では、それを非課税にしても、大きな魅力にはなりにくかったのではないか。もうひとつは、家計の資金を成長投資へ向かわせたいという狙いがあったのではないか、ということです。
ただ、現在は「金利のある世界」に戻りつつあります。今後、個人向け国債が、個人の資産形成におけるポートフォリオの一角を占める可能性は十分にあると思います。そういう意味でも、「個人向け国債の魅力向上」という記述は非常に興味深いと感じました。
ところで、今回の骨太の方針と日本成長戦略には強く期待することがいくつもある一方で、不安に感じることもあります。
それは、マーケットがその内容を受け入れるかどうかです。この点が本当に重要です。
今回発表された骨太の方針を例えると、「株式会社ニッポン」の中期経営計画のようなものだと思います。
代表取締役社長が高市総理で、官房長官や財務大臣、経済再生担当大臣らが経営陣に相当します。日本成長戦略には17の戦略分野がありますが、それぞれを会社の事業部だと考えると分かりやすいでしょう。
高市総理は社長として、この中期経営計画を基に「これまでのやり方を抜本的に変える」「コペルニクス的転換を図る」「必要な予算を積極的に提案してほしい」と呼びかけているわけです。
――2026年は、大きな転換点になり得るでしょうか。
政府文書で「コペルニクス的転換」という言葉を使うことは、なかなかありません。「予算の作り方を根本から改める」といった表現からも、政権の強い意気込みが伝わってきます。
しかも今回は、骨太の方針を総論に徹し、具体的な戦略や官民投資の規模を日本成長戦略に分けました。方針だけでなく、数字を伴う中期計画を示した点に大きな意味があります。
次に注目すべきは、その方針を受けて、各省庁が8月末までにどのような概算要求を出すかです。概算要求の内容を見れば、各省庁が本当に骨太方針に沿って動こうとしているのか、それとも動いていないのかが分かります。







