「定年した途端、人とのつながりが一気に減った」。そんな話を聞くことがある。会社員として働いている間は、同僚や部下、取引先など、毎日のように多くの人と接するため、自分が孤独になる姿は想像しにくい。しかし、その人間関係の多くは、「会社」という場所があるからこそ成り立っているものでもある。では、定年後に「孤独になる人」は、会社員時代にどんな人間関係を築いているのだろうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、自身の考えを解説する。

定年後に「孤独になる人」ができていないこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

会社にいる間は、孤独に気づきにくい

会社員として働いていると、毎日のように誰かと話します。
同僚と雑談をする、部下から相談される、取引先から電話がくる
――これだけ人と接していれば、「自分が孤独になる」なんてなかなか想像しません。

でも、その人たちとのつながりは、本当に「自分自身」とのつながりでしょうか。

実は、会社員時代の人間関係のかなりの部分は、会社が用意してくれているものです。
同じ職場にいるから話す、仕事があるから連絡する、役職があるから頼られる
――会社という場がなければ、接点がなかった人たちとのつながりです。

それでも働いている間は、毎日のように人と接するため、そのつながりがいつかなくなることを意識する機会はほとんどありません。
むしろ、それが当たり前の日常になっています。

定年した途端、人間関係が変わる

定年後に孤独になりやすい人が会社員時代にできていないこと。
それは、人間関係を会社の中だけで完結させないことです。

定年すると、「会社」という共通点がなくなります。
毎日顔を合わせていた人と会わなくなる。役職でつながっていた人から連絡が来なくなる。
相談されることもなくなる。

そこで初めて、「会社を離れた自分には、誰がいるだろう」と気づく。
忙しく働いていた時間が長いほど、その問いは重くなります。

「役職の自分」ではなく「自分」とつながる人を持つ

だからといって、今からたくさん友人をつくる必要はありません。
昔の友人にたまに連絡する、趣味を通じて会社以外の人と話す、家族との時間を少し増やす
――大げさなことは何もしなくていいんです。

大切なのは、会社や肩書きがなくなっても続く関係を、会社員のうちから少しずつ持っておくことです。

定年後の人間関係は、定年してからつくるものではありません。
会社以外にも自分の居場所を少しずつつくっておく
――それが、孤独を遠ざけるために今からできることです。