しかし、これには別の問題が発生します。ルビスコには光が必要ですが、葉の裏側に配置しても光が届きません。すると単純に葉っぱの表側にしか配置出来ず、単純計算で効率が半分になってしまいます。しかも実際、葉っぱは連なるので実質的に最上部の葉っぱの表側でしかルビスコが働けなくなってしまいます。全体のごく一部のルビスコしか働かないというのは、すごく効率が悪いです。

 そこで植物がとった解決策が、「光をすべて吸収しない」という戦略です。もし植物の葉っぱが黒色だったら、葉っぱの表側ですべての光が吸収されます。しかしどれだけ多くの光が注がれたところで、前述の通り、一つひとつのルビスコ稼働効率は大したことがないので、植物全体で生成されるエネルギーは大して増えません。

 それどころか、処理しきれない過剰な光エネルギーが植物に蓄積されることになり、最悪の場合、死滅することになります。小学校のころ、黒い紙に虫眼鏡で太陽光を当てると、やがて発火するという実験をした人は多いのではないでしょうか。

緑色の光はなぜ
葉の奥まで届くのか

 では、葉っぱが緑色であるとどうなるでしょうか?緑色の光は葉の表面で吸収されづらいので、葉の奥深くまで浸透します。浸透した光は、葉の表面以外のルビスコを稼働させます。また、下段の葉で反射した緑色の光は、その上にある葉の裏側に当たることになります。このように緑色の光を葉同士で散乱させることで、葉全体に散らばるルビスコを出来るだけ多く稼働させることにつながるのです。

 ただし、緑色に見えるからといって、緑色の光を全く吸収していないわけではありません。一般的な葉は、赤色光と青色光は約90%吸収しますが、最終的には緑色光も約70%から80%は吸収出来ているらしいです。では、なぜ緑色の光を散乱させるのでしょう。別に赤色でも青色でも良いと思いませんか?

 これは、光は散乱すると弱くなるからです。散乱させた後で吸収するので、強い光の方が都合が良いのです。だから植物は最も強い緑色の光を反射するわけです。

 逆に青色や赤色のような弱い光は、最も陽の当たる上部の葉で吸収し、強い緑色の光をあえて透過や散乱させることで、葉全体での光の吸収効率を向上させているのです。

 ちなみにですが、非常に数は少ないですが、黒い葉の植物は存在します。たとえば、暗い森林などの光が少ない環境では、より多くの光を吸収するために、葉が黒っぽくなることがあります。同じように、海底の海藻であるワカメなども暗い色ですね。逆に、太陽光が強過ぎる環境では、強力な紫外線から葉緑体を保護するために、黒い色素を含むことがあります。

 しかし、黒い葉っぱが必ずしも光合成効率が良いとは限らないというデータもあります。その理由はやはり、光をすべて吸収してしまうと、全体として効率が悪くなるからです。

 黒い葉はどちらかというと、過酷な環境で通常の光合成効率を守るために黒くなるという意味合いが強いのです。

 まぁ、植物が緑色なのは、ある意味では当たり前なのかもしれません。もし植物が違う色、たとえば青色だったなら、空も青、海も青、陸も青になり、地球が真っ青過ぎますからね。