私の場合、どんなジャンルの本であれ、ある部分を読んでいてほかに参照すべき箇所が見つかれば、そのページ数を鉛筆で欄外に書き込むようにしています。たとえば第3章を読んでいて、第1章のページに書かれていたことと関連する内容が出てきたら、その第1章のページ数を読んでいるところに書き込んでおくのです(下図)。この対応関係は、深い理解への手がかりとなるだけでなく、再読の時に有用な足がかりともなります。それはちょうど、登山者が岩や氷にアンカーを残しておくようなものです。
『AI脳クライシス デジタルは人から何を奪うのか』(酒井邦嘉、集英社インターナショナル)
これが小説ともなれば、伏線をうまく回収できないと読書の楽しみも半減しますから、前出の描写を頻繁に読み返す必要があります。そこで、伏線が回収される箇所に、伏線が張られていたページ数を記入しておくとよいでしょう。それだけでも、作品の構成や作家の緻密さが把握できます。伏線に富む優れた作品は、「一粒で二度おいしい」と言えるのです。冒頭で述べたように、読書の効果は「再読」で発揮されるからです。
また、何度も読み返した部分には自然と開き癖がつきますから、しおりや付箋紙などを使わなくとも、開いたとたんに探している箇所が見つかることも多いものです。紙の本には、ハイテク機器顔負けの「形状記憶効果」まで備わっているのです。
総体として見た時、紙の本は電子書籍よりもはるかにハイスペックなのです。
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