SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長驚異のキャンペーンから読み取れるSBIの焦りとは?SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長 Photo:JIJI

2027年開始の「こどもNISA」。SBIの圧勝かと思いきや、突如「金利21.3%」という異例のキャンペーンを打ち出しました。SBIが抱える致命的な“ねじれ”と、巨大経済圏の下克上シナリオに迫ります。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博

こどもNISA争奪戦が勃発
SBIが放つ異例の高金利

 2027年1月から始まる「こどもNISA」をめぐって早くも争奪戦が始まっています。まっさきに目につくのはSBI新生銀行で、キャンペーンの預金金利がなんと21.3%。ちなみにこの数字は「にいさ」にかけています。

 SBI新生銀行のキャンペーン、1カ月定期が上限60万円を21.3%で運用できるという内容ですから口座を開設して上限まで預金した人は8371円(税引後)をもらえることになります。

 それ以外の一部の金融機関では、抽選で1000~2000円ほどのポイントやキャッシュバックがもらえるキャンペーンが始まっています。MUFGグループのように10月から受付を開始する金融機関もありますから、これから争奪戦はさらに熾烈になりそうです。

 その争奪戦の勝者はどこになるのでしょうか?私の予測ではSBI証券がその最有力だと考えられるのですが大きな問題をひとつ抱えています。そのことをこの記事で解説したいと思います。

 最初にこどもNISA制度について説明しましょう。新制度は「未成年者のつみたて投資枠」という位置づけで、対象年齢は18歳未満、年間投資枠は60万円で非課税の保有限度額は600万円です。

 もし子どもが小学校に入ったころから毎月5万円ずつ積み立てていき、NISAの非課税枠で年利5%ぐらいの利回りで10年間投資をしていくと、大学進学時にはその600万円が800万円ぐらいに増えている計算です。0歳からの投資ならば複利でさらに増えます。

 そう考えると共働きで世帯年収が800万円を超えるようなパワーカップルが、将来、私大受験をするであろうお子さんのために教育資金を積み立てるようなニーズにちょうどこの制度がマッチしそうです。

 ではこのこどもNISA制度の口座獲得競争の勝ち組はどの金融機関になるのでしょうか?私の予測はずばり、1位がSBI証券、2位が楽天証券です。

 ではこの予測の理由を解説しましょう。

 元コンサルの視点で、金融機関のこどもNISA獲得戦略を立案することを考えてみます。

 すると一番重要なことは「親を獲得すること」だということがわかります。なにしろこどもNISAの口座開設には親の同意が必要なのです。そうなると「親がメインで使っている証券会社」が圧倒的に有利です。

 すでに新NISA口座を開設してオルカンやS&P500で資産形成を始めている夫婦であれば、当然ですがこどもNISAも同じ証券会社で同じ投資商品を選ぶのが一番自然です。

 仮に親ではなく「祖父母がメインで使っている」という条件なら野村證券、SMBC日興証券やメガバンク系のみずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券などが有利になっていたかもしれません。しかし30代の子育て夫婦の世代となると、圧倒的にSBI証券と楽天証券が強くなります。

 SBI証券か楽天証券でこどもNISAを始めて、そのための銀行口座はSBI新生銀行か楽天銀行に口座を開設する。これがきわめて自然な流れです。

 にもかかわらず、なぜSBI新生銀行はこども口座を獲得するために21.3%とびっくりするような高金利の定期預金を武器にするのでしょうか?実は、SBI証券にはひとつ、大きな課題が存在するのです。