新幹線の座席写真はイメージです Photo:PIXTA

「話が通じない」「場の空気を読んでくれない」――そんな相手とのコミュニケーションに苦労した経験はないだろうか。心理学の研究では、相手の気持ちを推し量る「共感能力」と、他人の表情に応じて自分の表情も変化する反応との間に、興味深い関係が示されている。相手がどれくらい共感能力を持っているのか。その人の「表情」が、一つの手がかりになるかもしれない。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)

ミシガン大学の研究で判明
20~30年前より共感能力が約40%低下

 どれほど丁寧に、わかりやすく話しても、こちらの意図をまったく理解してくれない人がいます。そういう人は巷にうようよしています。

 たとえば、「週末、デートしませんか?」と誘われたとしましょう。はっきりと「しません」と拒絶できればよいのですが、そんなことをすると相手も傷ついてしまうかもしれないという気遣いから、「土日はちょっとすることがあって…」とやんわりと断っているにもかかわらず、「あ、じゃあ、平日でもいいですよ」と平気な顔で切り返してくる人がいるのです。

 ビジネスシーンでも、こちらの意図を汲んでくれない人はいくらでも散見できます。「まずは社内で慎重に検討させていただき、もし決裁がとれましたら、改めてこちらからお電話を差し上げますので」と言われれば、気がつく営業の人であれば「あっ、こりゃダメだ」とピンときてすぐに帰ってくれるでしょうが、さらに食い下がろうとする人は後を絶ちません。

 話の通じない人は、相手の立場で物事を考える能力、すなわち「共感能力」が低い場合がありますが、共感能力に関する一部の指標が、時代とともに低下しているとする研究結果もあります。

 ミシガン大学のサラ・コンラスらは、1979年から2009年までに実施された、米国の大学生を対象とする72の研究データをまとめて分析したものです。

 すると、この30年で回答者の共感能力は大きく低下していました。特に「共感的関心」や「他者の視点に立つ傾向」の低下が目立ち、研究者らは、2009年ごろの大学生について、20~30年前の大学生より共感能力が約40%低いと説明しています。

「場の空気を読めない人」も、「話が通じない人」と同じように、相手の立場や気持ちを推し量る共感能力が関係していることがあります。

 こちらの気持ちを察してくれないような人とは、そもそもコミュニケーションをとるのにひどく苦労しますので、できればあまり関わりたくありません。では、そういう人を簡単に判別できるような、何か便利なテストはないのでしょうか。

 実は、相手の共感能力を知るための手がかりがあるのです。