自分の表情を変えたときに
相手の表情がどう変化するか

 その方法とは、自分の表情を変えたとき、相手の表情がどう変化するのかを観察してみること。

 まずは、目の前の人物と名刺交換をしたり、自己紹介をしたりするときに、最初はニュートラルな表情(無表情)からスタートし、少しずつにこやかな笑顔を見せるようにしてください。もし相手が共感能力の高い人であるのなら、こちらが笑顔を見せていると、むこうも無表情から笑顔へと少しずつ表情を変化させてくれます。共感能力の高い人は、相手の表情に応じて、カメレオンのように自分の表情を変えるという傾向があるからです。

 共感能力のある人は、悲しそうな顔をしている人の話を聞いていると、自分も悲しそうな顔になってゆきますし、会社に不満があってプンプンしている人と会話をしていると、相手の表情に合わせて無自覚のうちに怒ったような顔に変わるのです。したがって、こちらが表情を変えたとき、相手の表情もそれにつられるように変化するかどうかは、その人の共感能力をうかがう一つの手がかりにはなるでしょう。

 スウェーデンにあるルンド大学のマリアンヌ・ソンビー=ボルグストロムらは、61人を対象に共感能力を測定し、怒った顔や笑った顔を見た際の顔面筋の反応を調べました。

 すると共感能力の高い人は、顔写真がわずか56ミリ秒という短時間の提示でも、写真の表情に対応した顔面筋の反応が見られました。

 こちらがニコニコしているのに、いつまで経ってもむこうが笑顔を見せてくれず、ずっと無表情だったりした場合には、「あれっ、この人って共感能力が低いのかも?」と考える一つの手がかりになるでしょう。共感能力の高い人ほど、相手の表情に応じて自分の表情も変化しやすい傾向があるからです。

 共感能力の低い人とは、仕事でもプライベートでも、コミュニケーションに苦労することがあります。できればそれほど関わりたくない、と思う人もいるでしょう。相手がどれくらい共感能力や思いやりがある人なのかを知りたければ、さりげなく自分の表情を変えて、相手の表情の変化をテストしてみてください。こちらと同じ表情をしてくれるようなら、その人の共感能力を知る手がかりになるでしょう。

(参考文献)
Konrath, S., O’Brien, E. H., & Hsing, C. 2011 Changes in dispositional empathy in American college students over time: A meta-analysis. Personality and Social Psychology Review ,15, 180-198.
Sonnby-Borgstrom, M., Jonsson, P., & Svensson, O. 2003 Emotional empathy as related to mimicry reactions at different levels of information processing. Journal of Nonverbal Behavior ,27, 3-23.