ビッグテックはなぜ「草の根のAI反乱」を見誤ったのかILLUSTRATION: EMIL LENDOF/WSJ, ISTOCK

 シリコンバレーの戦略は人工知能(AI)で失敗しつつある。

 そしてこの数週間で再び露呈したように、 AIを巡る状況が混乱するほど 、テック業界の多くのリーダーはますます世間の感覚からずれているように見える。このことは、アンソロピックとオープンAIの新規株式公開(IPO)が 市場の高い期待 に応えたとしても、両社がリスクの高い政治上・規制上の問題に長く悩まされることを示唆している。新興の産業にとってはまれなことだ。

 もっと率直に言えば、テック業界の外にいる多くの人にとって、これら企業は悪役として誕生することになる。創業者たちが文化的英雄としてあがめられていた2010年代初めから驚くべき転換と言える。

「タイレノール事件に次ぐ、広報の大きなケーススタディーになる。ただし、今回の場合は『やってはいけないこと』の事例としてだが」。長年テック業界の広報に身を置くレイチェル・ホーウィツ氏は、AIデータセンターを巡る不満が全米の政治を揺るがした先週、Xにこう投稿した。

 オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は最近、ポッドキャストで自らの非を認めるように失策を認めた。「われわれは、一つの分野として、利点は何か、そして欠点をどう緩和できるかをきちんと説明してこなかった」

 しかし、なぜこれほどうまくいかなかったのか。

 現在のAIブームの高まりが、より内向きになったテック業界のエリートたちによる主要機関――政府や規制当局、メディアなど、自分たちのイノベーションを遅らせると見なすあらゆる集団――の拒絶と重なったのはおそらく偶然ではない。

 イーロン・マスク氏による2022年のツイッター(現X)買収は、利害関係者と直接対話できると感じた創業者やベンチャーキャピタリストの間で直接行うことを後押しした。

 ウーバーを追われた創業者トラビス・カラニック氏は今年、公の場に再び姿を現し、自身のAI新興企業を売り込む中で、まさにこうした動きを評価した。「マスク氏のツイッター買収は、われわれが本音を語れるようになり、意見の相違が違法扱いされなくなることの始まりだった」とポッドキャストで今月述べている。