Photo:Cheng Xin/gettyimages
中国発のファストファッション大手SHEIN(シーイン)は、成長に陰りが見える中で新規株式公開(IPO)に踏み切るという大胆な選択を行った。IPO価格は割安とは言えないが、頭から切り捨てるべき水準でもない。
中国で創業し、今も衣料品の大半を中国で生産しながらシンガポールに本社を置くシーインは1日に香港市場に上場する予定で、約270億ドル(約4兆3000億円)の評価額を目指している。同社はかつて、企業価値が1000億ドル近くに上ると評価されていたが、その水準からは大きく後退した格好だ。
シーイン株に対する弱気筋の論拠は単純だ。つまり、顧客にとって同社の主な魅力は格安のファストファッションだったが、米国が昨年、貿易上の抜け穴として利用されてきた少額小包を関税なしで輸入できるルールを廃止したことで、その魅力が薄れたという認識だ。シーインは届出文書の中で、増えたコストの大半を顧客に転嫁していると明らかにした。欧州も今年になって、少額小包に対する課税に着手した。
一方で、競争はあらゆる方面に潜んでいる。米国ではTemu(テム)とTikTok(ティックトック)のショップが消費者のスクロール時間を奪い合っている。また、JDドットコム(京東)、テムの親会社PDD、シンガポールのショッピーが、新興国市場でシェア争いを繰り広げている。
2024年には、米国の消費者需要を巡るテムとの争いが激化したことから、シーインの売上高は前年の41%増から21%増に伸びが鈍化した。そして25年には、デミニミスルールと呼ばれる少額輸入に対する免税措置が撤廃されたことで、シーインの売上高伸び率は8%に一段と鈍化した。さらに、今年1-3月期にはその伸びがわずか1.1%に落ち込んだ。これらの数字には、7月初旬に欧州で始まった新たな関税の影響は織り込まれていない。







