タームプレミアム上昇、財政運営に警戒感
アメリカは日銀の金融政策に強い関心
長期金利は、概念的には「将来の短期金利の予想平均」と「タームプレミアム」に分解できる。タームプレミアムとは、投資家が長期間にわたって金利変動やインフレなどの不確実性を負担することに対して要求する上乗せ金利だ。
この1年間、10年、30年、40年国債の金利上昇幅はいずれも政策金利の上昇幅を上回った。
その背景には、日銀による国債買い入れの減額、インフレ予想の強まり、海外金利の動向など複数の要因がある。そこに高市政権の積極財政が加わり、将来の国債増発やインフレ、財政運営の不確実性に対する市場の警戒をさらに強めた可能性がある。
金利の上昇は、通常は、その国の通貨を増価させる方向に働く。しかし、いまの日本では、金利が上昇しているにもかかわらず、円安が続いている。この組み合わせは説明しにくいものだ。
介入が行われても円安が収まらないこと自体は、不思議ではない。為替介入は市場に直接働きかける政策だが、その背後にあるマクロ経済的な要因が変わらない限り、効果が長続きしないことは十分にあり得る。
しかし今回のように、円安と長期金利上昇が同時に進む場合には、日本のインフレ進行や財政政策、国債需給などについて市場が追加的なリスクを意識している可能性がある。
ただし、金利上昇は日本だけの問題ではない。アメリカでも長期金利が上昇している。アメリカの30年国債利回りは、8月17日に一時5.31%まで上昇し、07年以来、約19年ぶりの高水準となった。
したがって、現在の長期金利上昇は日本固有の問題でなく、国際金融市場全体で生じている現象でもある。
アメリカの今回の円買い協調介入参加については、市場のアメリカの財政赤字拡大への懸念から国債市場が不安定化するのを抑えたいという政府の思惑があったとも報じられている。
だが一方で、ベッセント財務長官は、以前から日本のインフレ状況を念頭に、日銀の金融正常化を支持する姿勢を示してきた。
これは、米国が日本の金融政策について強い関心を持っていることを示すものだろう。ベッセント財務長官の発言の中心にあるのは、むしろ日本のインフレや円相場、金融政策の正常化の問題だと考えられる。
日銀の利上げが進まず、内外金利差が拡大したままでは、円安が一層進みアメリカにとってはドル高が進むことになりかねないからだろう。







