2.760%となった長期金利を示すモニター=5月22日
日銀、追加利上げと併せ国債減額停止
市場には高市積極財政への懸念なお続く
日本銀行は6月の金融政策決定会合で政策金利の1%への引き上げと、国債買い入れ減額計画のペースを2027年1~3月まで維持するものの、27年4月以降の減額停止を決めた。
今回の日銀の決定は、利上げによる期待インフレ率の抑制と、今後も国債買い入れを続けることによる国債の需給安定という二つの経路を通じて、長期金利(10年国債利回り)の上昇を抑えるものだ。
この背景には、5月22日の高市早苗首相と植田和男総裁の会談で、首相から「物価高対策や危機管理投資、成長投資など政府の取り組みを理解した上で、適切な金融政策を実行してほしい」との要望があったことは無視できない。
これは、物価高対策として利上げを容認する一方、積極財政の制約となる長期金利の上昇は抑えてほしい、との趣旨とも読め、政府と日銀が折り合ったと考えられる。
日本の長期金利は、5月19日には一時2.8%に達し、1990年代半ば以来の高水準となった。海外金利の上昇に加えて、高市政権の積極財政への懸念が背景にある。
その後、物価高対策などを盛り込んだ26年度補正予算の規模が3兆円と、懸念されたほど大規模ではなかったことから、金利は一時よりは低下している。
だが、中東情勢は米国とイランの間で暫定的な戦闘停止の合意がされたものの、ホルムズ海峡封鎖による原油価格上昇の影響はなお続くとみられ、インフレと財政懸念による長期金利の上昇は世界的な潮流だ。こうした海外金利の上昇が波及すれば、日本の長期金利が一時的に3%を超える可能性も否定できない。
日本の政府債務残高は主要国では突出しており、積極財政を掲げる高市首相は、「成長投資・危機管理」を軸にした成長戦略を最優先にしているほか、先の総選挙で掲げた「食料品の消費税ゼロ」実施への意欲を捨てていない。
社会保障国民会議の実務者会議では、27年4月から「税率1%」にする一方で、低所得層向けに1%分は給付をするという議長案が提示されたが、この消費減税などで穴が開く巨額減収をどう確保するかの議論は後回しの状況だ。価格転嫁の動きが今後、さらに本格化する中で、日銀が利上げペースを速めるとの見方もある。
長期金利の上昇が再び加速する可能性はある。







