一時、2.925%に上昇した長期金利を示すモニター=8月17日 Photo:JIJI
日本の長期金利上昇
世界の先導役
日本の長期金利の指標とされる10年物国債利回りは8月18日に2.9%台に達し、節目の3%まであとわずかというところまで迫ってきた。
もっとも、長期金利の上昇は主要先進国共通の現象だ。日本に限った現象ではなく、世界的な金利上昇の波の中で日本の金利が上がっているという側面もある。
一方で、日本の長期金利の上昇幅は他の主要各国よりもかなり大きい。また、長期金利の上昇(=国債の価格下落)と円安が連動しており、円売り・日本国債売りが今の市場における一つの大きなトレンドを形成している。
その点を考え合わせると、日本の長期金利の上昇は、世界的な金利上昇の余波を受けたためというよりも、むしろ世界的な動きの中で先導役になっている感が強いといえるだろう。
日本発の長期金利上昇圧力を
極度に警戒する米国
そのことは、7月末に実施された日米協調為替介入の背景からもうかがえる。
まず明らかな点として、ベッセント米財務長官は米国の長期金利の上昇傾向に相当強い警戒感を抱いている。米長期金利はこのところじり高傾向が続き、重要な節目とされる5%までそれほど余裕のない水準(8月19日時点で4.65%)に迫っている。
原因として、米国経済がAI投資ブームを背景に落ち込みを見せずに成長を続けている他、それに伴ってテック大手企業による巨額の社債発行(資金調達)が相次いでいることや、イラン情勢がなかなか終局に向かわずエネルギー危機の火種がくすぶり続けていることなどが挙げられる。そうした中で、日本の円安・国債売りのスパイラルは、とても危険な要因になりうる。
日本では高市政権が財政拡張、金融緩和の維持という方向性を打ち出している。これがインフレに対して後手に陥るリスク、いわゆる“ビハインド・ザ・カーブ”のリスクを想起させ、円安・国債売りのトレンドを生んでいるのである。これが行き過ぎれば、財政悪化やインフレの昂進を招きかねない。
そこで、為替介入でそれを防ごうとするわけだが、為替介入で売るドル資金は基本的に米国債で運用されているものである。つまり、為替介入をするには米国債を売却しなければならず、それが米長期金利の上昇圧力となる。
日米協調介入は、日本に政策対応への時間的余裕を与えると同時に、米国国債市場への波及を阻止しようとする強い牽制球であると考えられる。この場合、米国が求める政策対応とは、日銀による利上げの加速である。







