フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

「あれ?なんかこれ、すごくない?」テスト車に乗った開発陣がそう漏らしたひと言から、「Super-ONE」は生まれた。ホンダ初の乗用軽EV「N-ONE e:」をベースにしてパワーアップした普通車だ。しかし「面白い」だけではクルマの企画は通らないし、開発も発売もできない。ホンダ社内にもあった「本当にやるのコレ?」という反対論を抑えて、いかにSuper-ONEの企画を通したのか?この2台を仕掛けた開発陣に、開発の裏話を伺った。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

 みなさまごきげんよう。

 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 今週も明るく楽しくヨタ話から……といきたいところですが、先月からヨタ話は本編後に掲載しています。今回のヨタは、ハーレーを買った話です。皆さま、本編だけでなくヨタも読んでくださいね(はぁと)。

Super-ONEは「企画段階から」一緒に造るつもりだったのか

 先週はホンダの軽EV「N-ONE e:」の試乗記を、そして先々週はこのクルマをベースに誕生したEV「Super-ONE」の試乗記をお送りした。

 この2台のクルマはどういった経緯で生まれたのか?開発陣は2台とも同じということなので、今回は両方のクルマの話を聞いていこう。

ホンダ「N-ONE e:」ホンダ「N-ONE e:」軽自動車規格のEVだ(広報画像)
ホンダ「Super-ONE」ホンダ「Super-ONE」(広報画像)

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):N-ONE e:とSuper-ONEの両方に試乗させていただきました。Super-ONEの印象が余りにも強すぎて……ああ。ホンダも久しぶりにオモロイのを出してきたな、と感嘆したものでした。

 まず伺いたいのは、企画段階から、このSuper-ONEも一緒に造ろうという思いはあったのですか? ということです。

本田技術研究所 機種開発LPL チーフエンジニア 四輪研究開発センター 機種開発LPL室 堀田英智さん(以下、堀):N-ONE e:は、ホンダが軽EVの乗用タイプとして初めて造ったモデルです。商用の方はN-VANの電動を既に出していますが、市販の乗用はこれが初めて。

 これを造り込んでいく過程の中で、プロトタイプのテスト車を造って。どんな項目を開発するんだっけ、とか、性能確認をいろいろやっていくわけです。乗ってテストする。すると非常にポテンシャルが高いことに気が付いた。

F:開発陣が乗り回して、「あれ?なんかこれ、すごくない?」と。

堀:そうなんです。ガソリン車のN-ONEには、もともとRSというMTのスポーツタイプのグレードを設定してありました。ワンメイクレースをやるくらい走行性能の高いクルマなのですが、それよりも低重心になって、ハンドリング性能も上がっている。これを突き詰めていったら面白いぞ、という話になって、どんどん議論が加速していって、結果として軽EVシリーズの第3弾が……って実は軽じゃないんですけど……生まれたという感じです。

F:面白そうだから、もう一車種増やしちゃおうと。そんな流れですか?

堀:そこまで単純な話ではないですが、まあ、うんとざっくり言うとそうなりますね(笑)。