家族や親子といった役割を取り払い、個人として生きることが大事だと下重さんは言います。親と折り合いが悪い人は、その上で、親がどういう人生を歩んできて、どういう考え方を持ってきたのかを知ってみるのもいいかもしれません。

母を支えるのは父
そして母自身の役割でもある

信田さよ子
罪悪感はこれからの人生を生きていくための必要経費。

 臨床心理士としてアダルトチルドレンやDVの問題に取り組んできた信田さよ子さんは、「母娘問題」にも積極的に声を上げ続けています。

 信田さんの著書『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』は、母親との距離感に悩む女性に向けて書かれた本です。この本が刊行された2008年以前、「毒親」という言葉は一般的ではありませんでした。「母が重い」というフレーズに、ハッとした女性も多かったはずです。

 夫との関係によって不幸になった母は、娘に期待し、娘は母を幸せにするために期待に応えようとする。しかし、母の期待どおりの人生を歩めるとは限りません。だから母との関係に苦労する娘は、自分の人生を歩めなくなってしまうのです。

『脱力名言。』書影脱力名言。』(大山くまお、三笠書房)

 母の人生の負債を娘が背負う必要はないと信田さんは説いています(同時に父の不在という問題も厳しく指摘しています)。ところが、娘が母から距離をとろうとするときに、ついて回るのが「罪悪感」です。

 母が望んだ人生を歩めなかった罪悪感、苦しんでいる母を救えなかった罪悪感など、娘に良心があるほど、こうした気持ちに苦しむことになります。

 でも、それはこれから自分の人生を歩んでいく上での「必要経費」だと割り切るべきだと信田さんは説きます。母を支えるのは、本来ならば父の役割であり、母自身の役割でもあります。

 親と折り合いの悪い子どもは、罪悪感があっても、まずは親と距離をとってみましょう。