ソファで互いに目を合わせない年配女性と若い女性写真はイメージです Photo:PIXTA

血のつながった親子関係は、簡単に縁を切れないからこそ難しい。実際、毒親に苦しめられてきたにもかかわらず、「冷たくできない」と悩む人が少なくない。しかし、親孝行のために自分が不幸になったら本末転倒だ。関係の悪い親とうまく付き合える距離感とは?※本稿は、児童精神科医の精神科医さわ『「幸せそう」にならなくて大丈夫』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

どうしても消えない
親を許せない気持ち

 私は基本的に、「毒親要素が1ミリもない親はいない」と思っています。私も含めてです。この世に完全な人間はいないし、完璧な親もいない。義務教育で「いい親になる方法」を教えてもらえたわけでもないし、人間には相性というものもあります。

 子育てとは、不完全な人間同士が親子になって、向き合って、長い時間をかけて関係を築いていくもの。その関係を築く過程で、親が失敗してしまうことは当然あるでしょう。愛情はあるのに子どもを傷つけてしまったり、口出ししすぎてしまったり、選択を誤ってしまったり、好ましくない思考様式を学習させてしまったり……。

 そして悲しいことですが、一部には、子どもへの愛がない、あるいは愛が乏しい親も存在します。

 親が自分の人生に与えた悪影響に気づくと、人は恨めしさや憎しみ、「あいつのせいで幸せになれないんだ」「絶対に許さない」といった怒りに包まれます。

 このとき、多くの人がまず「謝ってほしい」という感情を抱きます。ただ、残念ながら、いま謝られたとしても(こういうご家庭の親御さんは謝らないことも多いのですが)あなたが抱えている問題が解決するわけではないんですよね。「ごめんね」と言われたからといって、「うん、許すよ」「はい、仲直りね」「やったあ、幸せ!」なんてなりっこない。

 過去が消えることも、謝罪によって傷が癒える、生きづらさが変わるということもありません。