職場でめちゃくちゃ評価されている人の「フィードバック」の共通点とはPhoto: Adobe Stock

良かれと思って、職場の後輩に「もっと頑張って」と声をかけたことはないだろうか。自分では励ましているつもりでも、実はその一言が相手を困惑させる原因になっているかもしれない。本記事では越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』をもとに、17万人の分析データが明かす、職場で評価されている人の「フィードバック」の特徴を解説する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

人を停滞させる「フィードバック」の特徴

以前勤めていた職場で、上司と後輩のこんなやり取りを見たことがある。

「前回の資料、全体的にイマイチだったからもっと丁寧に作って。あと、今週も忙しいと思うけど頑張ってね」

上司は悪気もなく、ごく普通にアドバイスと励ましの言葉をかけたつもりだった。

しかし、声をかけられた後輩の表情は冴えない。

「もっと丁寧に」「頑張って」と言われても、具体的に何をどう改善すればいいのかわからず、ただプレッシャーだけを感じて戸惑っていたのだ。

そして案の定、後輩は同僚に「いつも『頑張れ』とか『丁寧に』としか言われないから、正直どう動きを変えれば評価されるのかわからないんですよね……」と困惑した様子で漏らしていた。

職場で評価されている人の「フィードバック」の共通点

「できていないところは率直に指摘してあげよう」
「あまり期待をかけすぎてもプレッシャーになるから、そっと背中を押す程度にしよう」

部下のためを思って、そう考える人は多い。

しかしじつは、そのネガティブかつ抽象的なフィードバックが、部下や若手の成長の芽を摘む原因になっている。

『会社から期待されている人の習慣115』には、組織から期待されている優秀な人の「フィードバック」の特徴として、下記のように示されている。

期待されているリーダーは、部下へのフィードバックのうち、ポジティブなものが66%、ネガティブなものが34%であることがわかりました。
 

たとえば、期待されているリーダーの65%は、フィードバック時に相手への期待を添える傾向があります。
 

一方で、一般リーダーの73%が「期待を伝えるとプレッシャーで折れてしまうのではないか」と考えていて、ネガティブなフィードバックがポジティブなものより12%も多いことがわかりました。
 

ですが、事実は逆です。同じ会社の営業組織内で、ポジティブなだけのフィードバックをされた77人と、期待も込めてフィードバックされた76人を比べると、後者の提案件数が前者より38%も高かったのです。
(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)

調査によると、ただ「ダメ出し」をされるよりも、「期待」も込めてフィードバックした方が、指摘された方のモチベーションが高まるのだ。

優秀な人は「行動と影響」をセットで伝える

ポジティブなフィードバックといっても、ただ「褒めればいい」わけではない。

同書では、こう紹介されている。

期待されているリーダーたちに共通していたのは、行動と影響をセットにしてフィードバックすることです。
 

ある大手IT企業の部長は、この方法を因果フィードバックと呼んでいます。
 

「“◯◯したことで、△△という結果が生まれた”と、行動と影響をつなげて伝える。たとえば、“あなたが会議で最初に発言してくれたことで、他のメンバーも意見を言いやすくなった”と伝える。すると、何が良かったのかが明確になる」

行動だけを指摘されても、それがなぜ良いのか悪いのかわかりません。影響とセットで伝えることで、部下は自分の行動の意味を理解し、自発的に改善しようとするのです。
(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)

このように、相手の具体的な「行動」と、それが周囲に与えた「影響(結果)」をセットにして伝えている。

「あなたが会議で最初に発言してくれたことで(行動)、他のメンバーも意見を言いやすくなった(影響)」

このように伝えるからこそ、相手は何が良かったのかを正確に理解し、「次もこうしてみよう」と自発的に動くようになるのだ。

「頑張れ」では何も変わらない

また、組織から期待されているベテランは、ただ「頑張れ」と精神論を語ることも避けている。

ある地方公務員の女性課長は、過去の失敗を話してくれました。

 

管理職になりたての頃、部下たちに「もっと頑張って」、「もう少し丁寧に」と言っていたそうです。しかし、部下は具体的に何をすればいいかわからず、チームが停滞してしまったそうです。
 

それ以来、「会議で最低一回は発言しよう」「メールは送信前に誤字をチェックしよう」と具体的に伝えるようにしたところ、部下たちの行動が変わり始めたと言います。
 

「頑張って」といった抽象的な声がけは、フィードバックではありません。相手が精神的に追い込まれている場合、頑張れの声かけが逆効果になることもあります。
 

「今日の商談で、お客様の質問に即答できていたのが良かった。次の改善提案にその回答内容を入れたらもっと良くなる」
このように、未来に期待を込めて具体的に伝えるのが、うまいフィードバックです。

(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)

未来への期待を込めて具体的な行動レベルでアドバイスし、相手の自己効力感を高められる人。

それこそが、組織から将来を期待される、「優秀なリーダー」の条件なのである。

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。