「年齢を重ねても、困ったときに頼れる人がいる」。そんな安心感は、老後を支える大切なものの一つだ。しかし、家族や友人がいても、いざというときに誰にも助けを求められず、一人で抱え込んでしまう人もいる。その違いは、人間関係の広さだけにあるわけではない。むしろ、これまで何でも自分で解決してきた人ほど、注意したいことがある。では、老後に「頼れる人がいなくなる人」には、どんな共通点があるのだろうか。『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』の内容をもとに考えてみよう。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

老後に「頼れる人がいなくなる人」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「自分で解決できる」が正解なのか?

「困ったことがあっても、できるだけ人の手を借りずに解決してきた」
「家族や友人に心配をかけたくない」

そんなふうに、自分のことは自分で何とかしようとしてきた人は少なくないだろう。

もちろん、自立して生きることは大切だ。自分で考え、工夫し、困難を乗り越えてきた経験は、その人の支えになる。

しかし、年を重ねると、これまでと同じやり方だけでは乗り越えられないことも増えていく。
体調の変化、家族との別れ、生活上の手続きやお金の問題。自分一人で抱え込むほど、心身の負担は大きくなりやすい。

それにもかかわらず、「まだ大丈夫」「人に頼るほどではない」と考えていると、いざ助けが必要になったとき、誰にどう頼ればいいのかわからなくなる。

年を重ねたあと、支えを得にくくなる人の共通点。
それは、すべてを自分一人で解決しようとすることだ。

今までの成功がこれからも通用するとは限らない

そのヒントになるのが、次の話である。

 今までの方法がこれからも通用するとは限らない
 私は以前、心理療法を受けていたことがある。当時の私は、それまで経験したことがないような落ち込みを経験するまで誰かに助けを求めることを考えもしなかった。出口が見えず、状況は絶望的だと感じていた。
 セラピストの女性は私の話を聞きながら、あまり自分の意見を述べずにいくつかの質問をしてきた。
 私はついに我慢できなくなり、「それで、あなたはどう思うんです?」と尋ねた。
 私は彼女の承認を求めていた。他のクライアントと比較して、自分がどうなのかを知りたかった。普段の自分の能力を認めてもらいたかった。優秀だと言ってほしかった。優秀な人間だから、このつらい状況も乗り越えられると言ってほしかった。
 彼女は少し間を置いて、「あなたはたくさんのスキルをお持ちのようです」と言った。「でも、今あなたが解決しなければならないのはこれまでの問題とは違います。だから、新しいスキルを身につける必要があります」

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』より

これまでうまくいった方法が、これからも通用するとは限らない。

自分で何とかしようとする力は大切だ。
だが、年を重ねるほど、一人では解決しにくい問題も増えていく。

そのときに必要なのは、さらに頑張ることではない。
今の自分には助けが必要だと認め、家族や友人、専門家に頼ることだ。

困り切ってから初めて助けを探す必要はない。

小さな悩みを話す。わからないことを尋ねる。会いたい人に会う。
そうした日頃の積み重ねが、いざというときに支えを受け取れる関係をつくる。

自分一人で抱え込まないことも、これからの人生を安心して生きるための大切な力なのである。