帰宅した夫が黙り込み、話しかけても上の空。妻からすれば冷たい態度に見えるが、夫はただ「少し一人にしてほしい」だけなのかもしれない。こういったズレの背景を解き明かしたのが『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』だ。男女の違いを理解すれば、必要以上にパートナーに腹を立てずにすむようになるだろう。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
夫はなぜ黙り込むのか
パートナーとの会話がどうにもかみ合わない、と感じたことはないだろうか。
妻は話を聞いてほしいだけなのに夫は黙り込み、夫は少し休みたいだけなのに妻の不満は募っていく。この小さなズレが積み重なると、やがて夫婦関係そのものを冷え込ませてしまう。
こうした男女のすれ違いを、性格ではなくホルモンの働きから解き明かしたのが本書だ。
著者は、世界的ベストセラー『ベスト・パートナーになるために』で知られる、アメリカの人間関係カウンセラー、ジョン・グレイ氏。
本書によれば、男女は一見すると同じ言動をとっていても、体内ではまったく異なる生理的な反応が起きているという。だからこそ、相手を責める前にその仕組みを知ることが、男女の間のすれ違いを解消する近道になる。
男の「洞窟タイム」とは
本書によると、ストレスを感じると男女ともにコルチゾールというホルモンが分泌されるそうだ。
危険から身を守ろうとするときなどに出る、”戦うか逃げるか”という本能的な反応を促すホルモンだ。これが増えると気持ちに余裕がなくなり、思いやりを持って他人に接することが難しくなる。
このコルチゾールを減らすために効果的なのが、男性では男性ホルモンであるテストステロン、女性ではエストロゲンなどの女性ホルモンを増やすことだと本書は説明する。
テストステロンは、男性の活力や集中力、気分の安定と深く結びついており、逆に不足すると疲れやすくなり、いらだちや落ち込みを感じやすくなるという。
そこで著者が提唱するのが、男性がテストステロンを回復するために一人でこもる時間、”洞窟タイム”である。
帰宅後に夫が黙り込む理由が、妻への関心が薄れたからだとは限らない。翌日の仕事や家族のためのエネルギーを補給する、ごく自然なホルモンの働きだと考えることもできるのだ。
回復に必要な20~30分
では、その”洞窟タイム”はどれくらいの長さが必要なのか。本書はこう記している。
重要なのは、ストレスのない状況で行うことだと本書は指摘する。
好きな音楽を聴きながらのドライブや、意思決定、問題解決、得意なことに取り組む時間などが例として挙げられている。逆に、遅刻しそうな渋滞のなかで運転したり、テレビを観てリラックスしている状況が非難されたりすれば、かえってテストステロンをすり減らしてしまうという。
半日も放っておく必要はない。ほんの短い一人の時間で夫が機嫌を取り戻すのなら、妻の側にとっても得るものは大きいだろう。
怒りは男らしさではない
本書がとりわけ強く警告するのは、男性が回復の時間をとれないまま、怒りをパートナーに直接ぶつけてしまうことだ。
著者は、男性が怒るとテストステロンがエストロゲンに変換されると述べる。声を荒らげることは男らしさの証明どころか、むしろ男らしさが失われたサインだというのである。
妻の側は、夫が黙り込んだときに無理に引き出そうとせず、回復を待つという選択肢を持てる。夫の側は、いらだちが言葉になる前に短い”洞窟タイム”を確保する。互いの仕組みを理解して行動するだけで、家庭の空気は少しずつ変わっていくかもしれない。




