「仮説を作るAI」出現で科学者たちは不要に!?AIとの“知的分業”をどう進めるのかPhoto:PIXTA

知的作業に従事する人も仕事を奪われる!?
生成AIの急速な進歩がさらに社会を変える

 最先端AIが、科学上の新しい発見を始めた。8月22日の朝日新聞は一面トップでこのように伝え、いくつかの実例を挙げている。

 その一つの例は、遺伝子の発見だ。人間が行うと膨大な時間がかかる作業を、AIが極めて短い時間で成し遂げたという。いま一つは、約80年間にわたって未解決だった数学の問題を、AIが自律的に解明した例だ。

 数年前まで、AIは簡単な数学の問題に対してさえ、おかしな答えを出すことが珍しくなかった。日本では今年の初めに、AIが大学入学共通テストで人間の受験生を上回る高得点を取ったとして、大きなニュースになった。

 それからまだ1年もたっていないのに、AIは単に既存の知識を使って問題を解くだけでなく、人間がまだ知らなかった答えを見つけることができるところにまで進んだ。驚くべき進歩だと考えざるを得ない。

 こうした状況に対して、科学者たちは強い危機感を抱いているだろう。

 これまで科学者の最も重要な仕事は、未知の問題に取り組み、新しい法則や事実を発見することだと考えられてきた。ところが、その核心部分をAIができるのであれば、科学者の仕事はなくなってしまうように思われるからだ。

 これまで、機械化によって仕事を奪われると考えられてきたのは、主として工場労働者や単純な事務作業員だった。しかし、生成AIの登場、進歩によって事情は一変した。

 いま仕事を奪われる可能性が問題になっているのは、これまでは人間にしかできないと考えられてきた知的作業に従事する人々なのだ。

 これからの世界は、むしろ答えや仮説が過剰に供給される時代になるかもしれない。

 そうなると、科学者の仕事や知的労働者は、「いま考えるべき問題は何か」を見つける能力が重要になるだろう。