クーポンの例では、施策はクーポンの配布であり、クーポンが配られることを「施策を受ける」「施策がある場合」などと言います。私たちは今、「クーポンという施策が売上にどのような効果をもたらすのか」を知りたいと考えています。

 では、このときの「効果」とは、具体的に何を意味するのでしょうか?因果推論において効果とは、「施策を受ける場合と、施策を受けない場合とで、結果がどれだけ変わるのか?」という数字として定義されます(注2)。

 例として、スーパーで500円の割引クーポンが配られた状況を考えてみましょう。このクーポンが、あるユーザーIさんの購入金額にどのような影響を与えるのかを考えます。

 ここで重要なのは、ユーザーIさんについて次の2つのケースを考えることです(図表1-2)。

・クーポンをもらわなかった場合(ケースA)。
・クーポンをもらった場合(ケースB)。

 このとき、施策以外の要因を排除するために、この2つのケースの間では、「クーポンをもらっているかどうか」以外は、すべて同じだと考えます。

 もし、ユーザーIさんの購入金額を、両方のケースで知ることができたらどうでしょうか。施策以外はすべて同じなので、両方のケースでのユーザーIさんの購入金額を比べることで、クーポンの効果を直接知ることができます。

 例えばそれぞれのケースで購入金額が次のようになるとします。

・クーポンをもらわなかった場合(ケースA):3000円分購入。
・クーポンをもらった場合(ケースB):5000円分購入。

 このとき、購入金額の差は2000円です。

 この2つのケースでは、クーポンの有無以外に違いがないため、この2000円の差はクーポンによって発生したことになります。これが、ユーザーIさんにとってのクーポンの効果です。

図表1-2 クーポンの配布にのみに違いのある2つのケースのIさん同書より転載 拡大画像表示
(注2)効果の定義は様々なものがありますが、本記事は潜在アウトカムフレームワークに基づいた効果の考え方を説明します。