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グルメサイトで星が多い店ほど、予約は入りやすい。だが、それは星が客を呼んだからなのか、もともと人気の店だから星も多いのか。ほぼ同じ評価なのに、表示される星だけが0.5違う店を比べると、星の「本当の効果」が見えてくる。※本稿は、Data Science Center副所長の安井翔太、サイバーエージェントのデータサイエンティストの伊藤寛武、金子雄祐『原因と結果を武器にする思考』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
ビジネスの「境界線」には
自然な実験が眠っている
ビジネスの世界では、資源は常に限られています。本当はすべての顧客に特典を提供したいし、割引をしたい。しかし、現実には予算や人的リソースといった資源には制約があるために、「誰に」「どの条件で」資源を配分するかを決める必要があります。このような問題において、多くの組織は明確なルールを設け、資源を分配しています。
例えば、ロイヤリティプログラムは、過去の利用金額が一定額を超えた顧客に対して、上位ステータスや特典を付与しています。年間購入額が10万円を超えた人にだけクーポンを発行するといった仕組みもあります。
ビジネスの外に目を向ければ、給付型奨学金をもらうには成績が一定水準以上である必要があり、入試では試験の点数が基準点を超えれば合格となります。このように、多くの資源は「閾値」を伴うルールで分配されています。
後ほど説明しますが、実はこの「閾値のすぐ上」と「閾値のすぐ下」にいる人たちは、平均的にはほぼ同質と考えられます。そのため、これらの人たちの違いは、特典や割引などの資源があるかないかだけとなります。これはまさしく、境界線を挟んだ「自然発生的な実験」だと言えます。
こういった状況を分析するのが、回帰不連続デザイン(Regression Discontinuity Design:RDD)です。RDDは、ルールに内在する「不連続な境界」を利用して効果を推定する準実験の手法です。
ランダム化ができない状況でも、適切な条件が満たされれば、実験に匹敵する信頼性を持つ推定が可能になります。本節では、このルールの境界を武器にする方法を解説します。
ほぼ同じ顧客を分ける
閾値から効果を見抜く
RDDの発想は極めてシンプルです。閾値の周辺の人たちはほとんど同質のため、閾値の近くを分析すれば施策の効果がわかるというものです。
例えば、中国のある銀行のクレジットカードでは、資産額が30769ドル以上の場合にだけ会員ランクが上がり特典が付与される仕組みがありました(*1)。
資産額が30760ドルの人と30780ドルの人について考えてみましょう。この2人の資産額はほとんど変わりません。生活水準や消費傾向も、大きく違うとは考えにくいでしょう。







