株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか? 「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株で稼げる人が狙っている「IPO株の正しい買い時」Photo: Adobe Stock

IPO株は、どのタイミングで買う?

 将来大きく成長しそうなIPO株を見つけても、「いつ買えばいいのか」は悩ましいところです。上場直後は期待が集まって株価が高くなりやすく、値下がりしてから買おうと思っても、下落が続いているとなかなか手を出せません。

『株トレ』の著者・窪田さんは、株価が落ち着いてくる半年~1年後が狙い目になることがあると言います。

 では、どのようなIPO株なら買いを検討できるのでしょうか。

『株トレ』に掲載されているクイズを通じて、考えてみましょう。

 J社は、1年前に東証グロース市場へ上場した企業です。公募価格は2,000円で、上場初日には2,800円の初値をつけました。

 J社のチャートと業績予想は次の通りです。

 あなたなら、「売り・買い・様子見」のどれを選びますか?

J社の上場から1年後のチャートJ社の上場から1年後のチャート
J社の上場1年後の業績J社の上場1年後の業績

 ※J社は、実際の企業を参考に設定した架空の企業です。

チャートだけで判断するなら…

 上場後は株価が下落。13週移動平均線も下向きで、ゆるやかな下落トレンドが続いています。

 チャートだけを見れば、「様子見」か「売り」の判断になると窪田さんは言います。まだ明確な下げ止まりのシグナルが出ていないからです。

 では、この株は買わないほうがいいのでしょうか。

「成長株」としてブレイクする可能性がある

 窪田さんは、業績を含めて総合的に判断すると、「買い」か「様子見」だと言います。その理由は、チャートだけでは見えてこないJ社の「成長性」にあります。

 会社全体の利益は赤字が続いています。赤字と聞くと、それだけで投資対象から外したくなる人もいるでしょう。しかし、会社全体の数字だけを見ていると、企業の中で起きている変化を見落とすことがあります。

 そこで確認したいのが、事業ごとの業績です。

 J社の国内事業は、売上高が400億円から500億円へ、純利益が100億円から140億円へ伸びる見込みです。すでに高い収益力を持ちながら、成長も続いていることがわかります。

 一方、海外事業は大きな赤字です。ただし、売上高は100億円から200億円へ急拡大しています。売上は大きく伸びていますが、先行投資の負担が重いため、大きな赤字が出ている状態です。海外売上の成長が続き、いずれ海外事業が黒字化すれば、会社全体の利益にも大きく貢献する可能性があります。

 J社の売上高が来期以降、900億円、1,100億円へ拡大していけば、純利益も40億円、120億円へ伸びると試算されます。今は赤字でも、将来的に利益が大きく伸び、成長株としてブレイクする可能性がある。そのため、窪田さんは「買い」と判断します。

 ただし、チャートではまだ下げ止まりを確認できていません。そのため、すぐには買わず、「様子見」するのも選択肢です。

IPO株は「半年~1年後」が狙い目になる

 IPO株は、上場時に高い成長期待を集めるため、初値が割高になることが少なくありません。

 窪田さんは、上場から半年~1年ほど経って株価が落ち着いてきた頃が、投資の好機になることがあるといいます。

 J社も、まさにそうしたタイミングに近づいている可能性があります。

 上場直後に飛びつくのではなく、上場から半年、1年と経過したところで、チャートと業績を改めて確認する。そこに、将来大きく成長する株を買うチャンスが隠れているかもしれません。