退職理由としてよく挙げられるのが、「給与」「人間関係」「やりがい」だ。部下から退職を告げられたとき、上司もまずはこうした原因を疑うかもしれない。しかし、本人が口にする理由だけを聞いていても、本当の原因を見落としてしまうことがある。実は、もっと単純でありながら、本人からは言い出しにくい理由が隠れていることがあるからだ。では、部下が会社を辞める意外な理由とは何なのだろうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その理由を解説する。

会社を辞める人が、最後まで言わない「本当の退職理由」・ワースト1Photo: Adobe Stock

退職理由の「定番」の裏に隠れているもの

退職理由のアンケートを見ていると、毎回同じ顔ぶれが上位に並びます。
給与への不満、人間関係のしんどさ、やりがいのなさ――この3つは、鉄板です。

でも、現場をみていると、この3つに当てはまらないケースが意外と多いように感じています。
それが、「仕事が、つまらなかった」という理由です。

もちろん、退職する理由は一つとは限りません。
ただ、給与や人間関係に大きな不満があるわけではない。
それでも、「この仕事をこの先もずっと続けるのか」と考えたときに、気持ちが離れていく人がいます。

「やりがいがない」とも少し違う

「やりがいがない」という言葉には、「もっと成長したい」「もっと挑戦したい」といった思いが含まれることがあります。
でも、ここでいう「つまらない」は、少し違います。

高い望みがあるわけではない。ただ、毎日同じことの繰り返しで、続けていくのがしんどくなってきた
――もっと地味で、でも確実に積み重なっていく感覚です。

それでも上司には言えません。
「つまらないから辞めます」は、失礼に聞こえるからです。
だから当たり障りのない理由を並べて、静かに去っていく。

リーダーにできること

では、どう対応すればいいか。
まず大切なのは、「つまらそうにしている」サインを早めに拾うことです。

仕事はこなしているけれど覇気がない、以前より口数が減った
――こうした変化が続いているなら、要注意です。

そのタイミングで、こう聞いてみてください。
「最近、仕事していてどう? 楽しいとか、つまらないとか、正直なところを聞かせてほしい」と。

「やりがいはありますか」では答えにくい。「つまらない」という選択肢までこちらから出すことで、本音が出やすくなります。

そして、話を聞いた上で、少し仕事の内容や担当を変えられないかを考えてみてください。
大きな異動でなくてもいい。新しい業務を一つ任せる、別のチームと関わる機会をつくる
――小さな変化が、「つまらない」の出口になることがあります。

「つまらない」は、仕事の工夫で変えられることがあります。
気づいたときに動けるかどうかが、リーダーの腕の見せどころです。