株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか? 「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株で資産を増やす人は「値下がりした株」をどうする? 多くの人がやってしまう“逆の売買”Photo: Adobe Stock

含み益の株と含み損の株、売るならどっち?

 株を買った後、2つの銘柄の値動きが大きく分かれたとします。

 一方は、買ったときより株価が上昇して含み益が出ている。もう一方は、じわじわと値下がりして含み損を抱えている。

 もし、どちらか一方を売るとしたら、あなたはどちらを選ぶでしょうか。

 多くの人は、利益が出ている株を売りたくなるものです。

「せっかく出た利益を確定しておきたい」

 反対に、値下がりした株については、「ここまで下がったなら、そろそろ戻るだろう」と考え、売るどころか、さらに買い増したくなることもあります。

 いわゆる「ナンピン買い」です。

 しかし、『株トレ』の著者・窪田さんは、こうした売買で稼ぐのは難しいと言います。

 では、実際のチャートを見ながら考えてみましょう。

3ヵ月前に買った2つの株、売るならどっち?

 次の2つのチャートを見てください。

3ヵ月前に850円で100株買い、920円まで上昇した3ヵ月前に850円で100株買い、920円まで上昇した
3ヵ月前に950円で100株買い、890円まで下落した3ヵ月前に950円で100株買い、890円まで下落した

 どちらも3ヵ月前に買った株です。

 1つ目のチャートでは、株価は多少上下しながらも、13週・26週移動平均線はともに緩やかな右肩上がりを続けています。

 一方、2つ目のチャートでは、株価がじわじわと下落。13週・26週移動平均線も、ともに右肩下がりです。

 どちらかを売るなら、窪田さんの答えは2つ目の株です。

 なぜなら、チャートを活用したトレードでは「トレンドにしたがって売買すること」が鉄則だからです。

 上昇トレンドにある株は、そのまま保有する。場合によっては買い増す。反対に、下落トレンドにある株は損切りして、上昇が期待できる別の銘柄へ乗り換える。

 つまり、上がっている株を残し、下がっている株を手放すのです。

移動平均線が下向きなら要注意

 では、上昇トレンドと下落トレンドは、どこを見ればわかるのでしょうか。

 そこで役立つのが「移動平均線」です。

 株価は、ニュースなどの短期的な材料に反応して、日々変動します。一方、移動平均線は、一定期間の株価を平均しているため、株価そのものよりも緩やかに動きます。

 窪田さんは、13週移動平均線は約3ヵ月、26週移動平均線は約6ヵ月の企業価値の変化を反映して動いていると説明します。

 2つ目のチャートを見ると、13週・26週移動平均線がともに緩やかな下降を続けています。これは、一時的に株価が下がっているというより、企業を取り巻く状況が少しずつ悪化している可能性を示しています。

「もう十分下がったから、そろそろ反発するだろう」

 そう考えてナンピン買いしたくなるかもしれません。しかし、下落トレンドが続けば、含み損はさらに膨らんでしまいます。

 窪田さんは、損切りか利益確定かにかかわらず、下落トレンドが続く株は売り、上昇が期待できる銘柄へ乗り換えることが重要だとしています。

値下がりした株ほど「買いたくなる」けれど……

 株式投資では、「安く買って、高く売る」ことが利益につながります。そのため、値下がりした株を見ると「安くなったから買い」、値上がりした株を見ると「高くなったから売り」と考えたくなります。

 しかし、トレンドが発生しているときに、この発想で売買すると逆効果になることがあります。

 上昇トレンドの株を「もう上がったから」と早々に売れば、その後の大きな上昇を取り逃してしまいます。

 反対に、下落トレンドの株を「安くなったから」と買い増せば、その後も下落が続き、損失が膨らむかもしれません。

 上昇トレンドにはできるだけ長く乗り、下落トレンドからは早めに降りる。買値からどれだけ上がったか、下がったかだけではなく、まず「今、この株はどちらの方向へ動いているのか」を見る。それが、チャートを使って売買を判断するときの基本です。