またこのタイプを動かすには、不安や嫉妬心、功名心を刺激することが有効だとする見解もあります(注1)。このため、Aさんにとってのメリットを考える際は、功名心を満たすことなどを意識しましょう。
「今、Aさんのご助言をうかがっていて、たとえば、こうした事態が発生した場合には、プランX(=Aさんの提案とは別のプラン)を実施したら、我々A班の危機管理能力が高く評価されると思ったのですが、いかがでしょうか?」
このように、「Aさんのご助言をうかがっていて」と、まずAさんの発言を肯定する。その後で、「たとえば」と仮説に基づく別のプランXを提案する。その際、「A班の能力が(すなわち、リーダーであるAさんが)高く評価される」とAさんにとってその選択をする自己中心的なメリット(功名心が満たされる)も一緒に伝え、「いかがでしょうか?」と質問形式で提示するのです。
これらのポイントをおさえることで、Aさんに「否定された」と感じさせることなく、検討の動機づけを行えます。すると、強く反論されることもなく、前向きにその別案を検討してもらえるでしょう。
業務時間外の連絡には
即時対応しなくていい
次に、相談者の場合、就労時間外にも過剰な指示や要求をされているようですので、それを減らす対策を考えましょう。
これに対しては、許容できる要求とそうでない要求の線引きをし、その境界線を一貫して守ることが有効だとされています(注2)。
たとえば、「就労時間内は業務として対応するが、時間外のメールや電話には対応しない」と自分の中でしっかり境界線を引き、それを徹底することで、相手にもそのルールを認識させることができます。具体的にいえば、夜中にメールが届いたとしても、翌朝の就労時間になってから返信するようにするのです。
(注1)岡田尊司『パーソナリティ障害――いかに接し、どう克服するか』PHP新書、2004年。
(注2)Luchner AF. Maintaining boundaries in the treatment of pathological narcissism. In J. S. Ogrodniczuk(ed.). Understanding and treating pathological narcissism. Washington, DC:American Psychological Association. 2013. 219-234.
(注2)Luchner AF. Maintaining boundaries in the treatment of pathological narcissism. In J. S. Ogrodniczuk(ed.). Understanding and treating pathological narcissism. Washington, DC:American Psychological Association. 2013. 219-234.







