
「普通はこうしなくちゃダメ」「そんなの常識だろ」と、とかくこの世は、他人をコントロールしたがる人間であふれている。心理カウンセラー・るろうにが、圧をかけられて傷ついたあなたに、「自分らしさを取り戻す方法」をお伝えする。※本稿は、るろうに『もう誰かのためにガマンしなくていい 自分らしさを取り戻す図太いメンタルになる方法』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。
「心の境界線」を引くことは大事
子どもの領域を冒す親は意外と多い
「心の境界線を引く」ってなじみのない言葉かもしれませんね。これは「安心できる、心地いい人間関係を作りやすくするために、他人への期待と欲求を明確に示す行為」です。
ここで分かりやすく心の境界線を家にたとえてみましょう。たとえば、自分の家に勝手に部外者が入ってきたら困りますよね。だから、勝手に部外者が入ってこないように、家には外壁があります。外壁によって「内と外」の境界が明確になります。
心の境界線とは家の外壁のようなものです。心の境界線が明確に引けていると「これ以上は私の領域(内)だから、勝手に入ってこないでね」と他人に言えるようになるわけです。逆にいうと、心の境界線が曖昧だと、どこからどこまでが自分の領域なのかが分からなくなってしまう。だから、自分の領域に他人が勝手に入ってきて困ることになります。
たとえば、成人した子どもとその親がいるとします。子どもにとって、どんな人と結婚するかは子どもの領域です。だから、結婚相手は子どもに全て決める権利がありますよね。
「なんだ、そんなの当たり前でしょ」と思ったかもしれません。ところが、世の中には他人との間の心の境界線がとても曖昧な人がいるんです。
信じられないかもしれませんが、親の中には「子どもの結婚のことに親が口を出すのは当然だ!」「私たちが手塩にかけて育てた子どもなんだから!」と考える人が少なくないんです。だから、子どもの婚約者が気に入らないと「あんな人と結婚するのはやめなさい」「もっと堅実な人を選びなさい」などと言ってくることがあるんですね。
つまり、この親は心の境界線が曖昧な人で、子どもの領域に勝手に侵入してしまっているわけです。そして、親だけでなく子どもも心の境界線が曖昧だと、口を出されて嫌だと思う半面、「親は自分のために言ってくれてるんだから……」と葛藤が生まれます。
すると、親の言うことに従わざるを得なくなってしまう。だから不本意ながらも、好きな人との結婚を諦めてしまうんです。これでは自分らしい幸せな人生を送ることはできませんよね。