こうした行動をとると、最初は、即時対応しなかったことに対して文句を言われることが予想されます。その対策としては、丁寧さをもって、相手に「否定された」と感じさせないように配慮をしながらも、はっきりと境界線を伝えることがポイントとなります。

「就労時間外でしたので、対応できず申し訳ございませんでした。今朝メールを確認し、対応しましたので、ご報告させていただきます」と伝えると、距離を保ちながらも責任を果たす姿勢を示すことができます。

 また、返信メールの文字数を減らすのもお勧めです。返答や用件のみにするのです。反応があることで、自分の影響力に満足感を覚える場合もあるので、「薄い反応」を心がけましょう。反応が薄い相手に対しては、メールや非常識な時間帯の電話の回数が減る傾向にあります(注3)。

シゴデキ先輩とうまくつきあえても
そのままついていくべきとは限らない

 ここまでは、「事業遂行中、疲弊リスクを減らすために、どうすればいいか」について考えてきました。

 しかし、人生とは何が起こるかわからないものです。Aさんを冷静に観察・分析しているうちに、Aさんの取り扱いを熟知し、「気づけばストレスを感じることなく対応できるようになっていた」といったことが起こるかもしれません。

 その頃には、Aさんの中で、相談者の立ち位置が、「召使い」から「信頼できる右腕」へと“昇進”している可能性もあります(注3)。「信頼できる右腕」レベルになると、Aさんの意思とは多少異なる進言であっても、反発されずに耳を傾けてもらえることすら出てきます。

 そうなると……「このままAさんの右腕としてキャリアを重ねていくか、それとも一定の距離を置くか」と相談者は新たな、事業終了後の身の振り方に悩むかもしれません。そんなときの簡単な意思決定のやり方もお伝えしておきます。

(注3)蝦名玲子「新たな時代のストレス対処とコミュニケーション『嫌味な長文メールを頻繁に送ってくる先輩に疲弊』」『へるすあっぷ21』2021年2月号、24-25頁。