成城石井は単に高価格帯のスーパーであるだけでなく、オーガニック志向の惣菜やスイーツなど、日々の食卓にもう一品といったニーズを捉えた品揃えで人気を集めています。

 駅ビルや郊外のショッピングセンターにも出店しているため、高学歴エリアと完全に一致するわけではありませんが、地図を見ると、高学歴エリアの駅前に店舗が集中していることが見て取れます。

 このことから、成城石井は都市部に住み、忙しく働きながらも生活の質を高めたい人々を強く意識した立地戦略を取っている、そんな仮説が立てられるでしょう。

 では、この法則は他の都市圏にも当てはまるのでしょうか。今度は近畿圏の高級スーパー「いかりスーパーマーケット」の店舗も地図に重ねてみましょう(図7)。

図7 高学歴エリアと「成城石井」「いかりスーパーマーケット」の分布同書より転載 拡大画像表示
『データでわかる東京格差 数値の「可視化」で真実をあぶりだす』書影『データでわかる東京格差 数値の「可視化」で真実をあぶりだす』(にゃんこそば、SBクリエイティブ)

 近畿圏では、いかりスーパーマーケットが明治以降の阪神間モダニズム文化を背景に持つ阪神間の高級住宅地を中心に店舗を展開しています。同じ市区内でも高学歴者(または富裕層)が多い六甲山麓に店舗が偏っていることがわかります。

 一方で、大阪府内や奈良県内では、成城石井と合わせても空白が目立つ結果となりました。

 これは完全に仮説の域を出ませんが、例えば、大阪府北部の北摂地域(千里ニュータウンなど)には「阪急オアシス」や「北野エース」といったスーパー、食材店が点在しているため、後発である成城石井の出店戦略に影響を与えている可能性が考えられます。

 ここでは高学歴層の居住と消費にスポットを当てて可視化してみましたが、一般的に学歴は年収や働き方(職種、業種)と相関する傾向があり、結婚・出産の年齢、子どもの教育方針との関連も見られることから、本書で触れるさまざまな地域差の根幹をなす要素だと言えるでしょう。