米中首脳会談のため、メリーランド州アンドリュース合同基地に到着した中国の習近平国家主席 Photo:Chip Somodevilla/gettyimages
なぜ「習近平重病説」が突然、広がったのか
2026年9月、インドで開催されたBRICS首脳会議をめぐり、習近平国家主席の体調に異変があったとするSNS投稿が相次いだ。インドのモディ首相が習近平に「Is it okay?」と尋ねたとされる場面が撮影され、さらに習氏が首脳夕食会を欠席したことでさらなる憶測を呼んだ。
ただし、「Is it okay?」は通訳用イヤホンを確認したものとみられる別映像もあり、健康状態について尋ねたとは断定できない。
また、中国側からも習氏の健康状態について詳細な説明は出ておらず、重病説そのものは未確認の情報に過ぎない。インド政府も病気になったとのSNS情報を否定している。
ただ、このように習氏に関する情報が最近、外部で繰り返し流れるようになっている。ここでは、そのことに注目して、中国内部で何が起こっているか、仮説も交えながら考える。
習近平とプーチン、「重病説」の広がり方が違うワケ
ロシアのプーチン大統領にも長年にわたりパーキンソン病説や癌説が囁かれ、影響力のあるメディアでもまことしやかに報道されることがあった。しかし、その多くには確かな裏づけがなかった。
では、なぜプーチン大統領について重病説が頻繁に流されるのか。それは、プーチン大統領の敵対勢力にとって、重病説が広まれば、政権の不安定化を印象づけたり、指導者の影響力を弱めたりする効果を持つ可能性があるためだ。
ただ、裏取りに慎重な大手メディアが重病説を事実として正面から取り上げることはほとんどなかった。ロシア内部から十分な裏づけがとれなかったからである。
ロシアではロシア連邦保安庁(FSB)をはじめとする情報機関による政治情報の管理がきわめて厳しい。もしプーチン大統領が本当に重病であれば、可能な限り隠蔽し、重要情報が内部から漏れれば情報源の特定に動くはずだ。
今回の習氏の健康不安説は、やや構造が違う。情報は中国内外をまたいで拡散し、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)など大手メディアまで健康不安をめぐる憶測そのものを報道している。
つまり、今回の情報は、単なる健康問題ではなく中国内部の政治的動きと連動している可能性がある。プーチン大統領の場合とは違い、「中国内部からの何らかのメッセージ」として読む余地がある。







