「習一強」に何が起きている?相次ぐ3つの異変
中国では習近平一強体制が続いているが、最近はその綻びを疑わせる現象も増えている。とくに次の3つは注目すべきだろう。
一つめは、連鎖粛清による軍上層部の空洞化だ。
2026年1月24日、中央軍事委員会副主席の張又侠と連合参謀部参謀長の劉振立が「重大な規律違反・法律違反」の疑いで調査対象となり、8月には国家中央軍事委員会の職務から正式に外された。これにより中央軍事委員会は、習近平と副主席の張昇民という2人だけが残る異例の状態となっている。
習政権下では近年、人民解放軍上層部で大規模な粛清・人事処分が相次いでいる。戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、2022年の党大会で中央委員に選ばれた人民解放軍将校44人のうち、少なくとも16人が失脚し、消息不明者などを含めれば最大37人に達する可能性がある。さらに2022年以降、粛清されたかその可能性がある上級将校は101人にのぼる。
二つめが、北戴河会議後に長老たちの動静が注目されたことだ。
8月には朱鎔基元首相が死去し、胡錦濤元国家主席をはじめとする引退した最高指導者たちの動静が改めて注目された。公式発表では胡錦濤氏は朱氏に花輪を送り、習近平氏ら現指導部が告別式に参列している。
朱氏は江沢民政権で「辣腕宰相」と呼ばれ、中国の高度成長と国際化に尽力した象徴的な人物で、習氏とはかなり異なる政治・経済路線を象徴している。その死去と北戴河の時期が重なったことで、海外では長老グループと習体制の関係をめぐる憶測が再び活発になった。
三つ目が、引退説の拡散だ。
8月下旬から、習近平氏が来年秋の第21回党大会で引退するとの噂が流れ始めた。さらに、胡錦濤氏や温家宝氏、李瑞環氏ら元指導者が習氏の引退を求め、ポスト胡錦濤時代の有力者だった胡春華氏を次期総書記に推しているとする、具体的な内容まで出回っている。
もちろん、これらを裏付ける公的な情報は確認されていない。したがって、噂の内容そのものを事実として扱うことはできない。
一方で、真偽とは別に注目すべき現象がある。最高指導部の人事や習氏の進退に関する具体的なシナリオが繰り返し海外に流れ、中国語圏で増幅されていることだ。これが中国共産党内部の実際の動きを反映したものなのか、それとも外部で作られた情報なのかは分からない。しかし、こうした情報が繰り返し流通していること自体は、中国政治の不透明さを考えるうえで無視できない現象だろう。







